鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

『バプテスト自由吟味者』への的外れな要約

2017年11月10日 | 政治見識のための政治学



わたくしの新刊『バプテスト自由吟味者』は、思いがけない体験を私に与えてくれています。

この本は小さな冊子ながら色んな新情報を読者に与えています。

だが、それを一言で言えばどうなるか。どう要約できるか。

鹿嶋本人としては、こうとらえていました。

 ~「今我々が享受している、信教自由、言論自由などは、実はバプテスト派をはじめとする、聖句自由吟味主義者たちが造ってくれたものなんだよ」

~これでした。


  

すすんで入手して下さった人、義理で買ってくれた人も含め、様々な方から今までになく多くの方が、感想をくださっています。

これも今までに無い体験ですが、予想外のことが他にもあります。

感想・批評には、通常、その人のとらえた「本の主旨」の要約が明に暗に入るものです。

その要約がすべて、筆者の上記の要約から的が外れているのです。

「これは北欧のすぐれた教育システムはバプテストの方式を使って出来ている」ことを
示した本である・・・とかね。




こういう体験は初めてです。鹿嶋は驚きました。
そしてぼんやりと理由を考えている内に、これも衝撃的な原因に突き当たりました。

+++

日本人には、人間社会とその運営についての基本的認識が無い、というのがそれです。
読者は日本人の現状を代表していると思えるのです。

社会の運営とは、政治であり統治です。
それに無知というのは政治的無識ということでもある。

政治見識が薄い、なんてものでない、ゼロなんだな。

+++

「ああ、そうなんだ。だから終戦後日本を統治したマッカーサーは
“日本人は政治的には13才”との感慨を漏らしたのだ」

~いまさらになって、初歩的な合点を鹿嶋はしてしまいました。





<政治の理解には、社会生成の基礎知識が必要>

 ここに現れた日本人の政治的無識、これを鹿嶋は、このブログで知識補填することにしました。

以下やってみます~。

@@@
 
人間は地上で自己増殖をしながら、まず、あちこちの地域で群れて小集団を形成します。
(聖書では「ノアの洪水」の後、ノアの家族から再び増殖を始めたことになっています)

農業を始め、協働し合ってすると効率が急上昇する活動分野がいろいろあるからです。

それゆえ人々は地域的、部族国家のようなものを創っていきます。

+++

人はそこに一定の「秩序がありそれが守られている状態」を望みます。

集団内の人間には、ならず者的なセンスの者もいるのです。

腕力を使って、他者の家族の食料を強奪したり、当たり前のようにして娘を強姦する者もいる。
なぜかこれはどの地域にも、いつの時代にも現れるのです。

だが、大多数の人々はその被害に遭うことを非常に嫌います。
そこで、こういう行為を許さない秩序(法)を造り、それを守らせる社会に生活することを切望します。




<知的武力的有力者に>

その際、社会の成員は、知的、武力的に有力な者に、その秩序を維持し運営してもらうことを望みます。
ならずものを従わせるには、力(武力:マックス・ウェーバーのいう「物的暴力手段」)が必要なのです。

また武力は、隣接する部族国家の侵略行為と戦って防衛する」ためのものでもあります。


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こうして、知的・武力的有力者(とその家族)は、その地域の統治者となっていきます。

この地位は通常、その血族によって継承されていきます。

これはどの地域集団にも生じる、自然な現象なのです。




<社会維持動機を共有>


このの際、みんなの最大動機・最大の共有価値は、その秩序を持った社会を「維持」することです。

だから人間社会は自然なままなら、現社会を維持することを最も強く望みます。



   

<王制>

そして、そのために、最も効率的なのは、統治者に広い意味での「王」となってもらうことです。

王は人民の娘を、気に入ったら、王室に召し出す権限を持ちます。
人民の息子を徴兵して戦場に手戦わせる権限を持ちます。

それでも人は王制を求める。
彼に絶対権を与え、社会を統治・運営してもらうのが、最もわかりやすく、効率的なのです。

特に、隣接した地域国家と武力で争う際には、つまり、戦をする際には、これが最も効率的です。

戦争のときには、「命令=服従」のシステムで集団を運営するのが、最も集団に一体性を保ち、迅速な集団行動をするのに有効ですからね。

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ですから、自然のままでは、広い意味での「王制」を人類は世界のあちこちでとるようになっていきます。

それは欧州地域だけではない。

お釈迦様はインドの王子様だったと言いますよね。

つまり、インドでも人間は地域毎に王制部族国家を形成していたのです。
彼はその一つの王の後継者の生まれだったのです。

中国でも同じです。
王制という統治形態は、人類に普遍的なのです。

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そして繰り返しますが、そこで社会成員が共通していだく第一目標は「現社会の維持」これです。
社会の発展、成長も抱かれる目標の一つです。
だが、それは社会「維持」の上位に立つことはありません。

集団の成員、国民個々人の幸福も望まれますが、その目的が現社会の維持の上位にでることはありません。

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この社会集団的欲求がいかに強いかは、明治日本の「大逆事件」というでっちあげ事件をみたらわかります。

あんなに残忍に社会主義者を殺すことまでして、明治国家社会(政府)は現社会の維持に神経を使ったのです。




<聖句自由吟味者のユニークさ>

自然発生した社会、国家では「人民個々人の精神的自由を最大目標とする」ことなど、起きえない。


なのに、聖句自由吟味者は、成員の聖句吟味を自由にする人間集団を初代教会に形成しました。

聖句を自由に吟味するのを許すことは、個々人の「精神の自由」を保証することと重なっています。

彼らは、まず、成員個々人に聖句「解釈の自由」をみとめた。
次に、それを可能にする自由吟味のスモールグループを作りました。
そこにリーダーを選ばせ、彼らの連携によって集団全体(教会)を運転しました。

こういう自由集団が、新約聖書の『使徒行伝』に描かれている初代教会です。

この人間集団(初代教会のスモールグループ)が、教会発足後わずか30年で大ローマ帝国内部に普及する事態となりました。




だが、既成の現社会は、そんな原理の集団が社会に普及することは容認できません。

そして、100年もしたら、自然な(王制)社会の要請、現社会体制の維持を最大目標とする新教会が出現しました。
これがカトリック教会(教団)です。

彼らは、ローマ帝国の国教となり、自然な王制国家の要請を体現して、聖句自由吟味者たちを抑圧しました。
従わねば、見せしめのために広場で火あぶりにして殺しました。
だがこれは自然な動きなのです。

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ところが自由吟味者たちは歴史を生き延び、その数を増し英国を大変革しました。
クロムウェルによる「名誉革命」はその一つのクライマックスです。

だが自由吟味者はそれにとどまらず、アメリカ大陸の英国植民地という、空間に個々人の精神的自由を最優先目標に置く国家を作った。

既成の王制国家と海を隔てた植民地に、母国英国からの独立を実現するための独立戦争を仕掛けました。

そして、なんと、戦に勝利し、独立権を得た国家に憲法を作り、法治国家とした。

国家の決定権を人民に分散所有させる民主制度もそのなかに組み入れた。

そのうえでその憲法に政教分離、信教自由の原理を追加修正条項として挿入したのです。

こうして人類社会に初めて、国民個々人の精神の自由を最大価値に置く国家が出現しました。




<人類世界の奇跡>

これは人類史における奇跡なのです。

伝統的王制国家社会が世界を覆う状況の中では、こんなことは、通常起きえないのです。

だが、実現した。
それをバプテストやメノナイトを初めとする「聖句自由吟味者」が実現したのです。

これは奇跡です。

もうこんなことは人類史に起きません。
これを可能にするような条件は、もう人類の歴史にできあがらないです。

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だが、出来てみると、この社会では個々の成員は、王制国家におけるよりもはるかに暮らしが快適だった。
聖句自由吟味者に限らず、米国国民はみな「快適だなあ~」と実感した。

すると王制国家社会にいる有力者も、そういう快適さにあずかろうとします。

もちろん、全社会を変えることは出来ません。
その全体は、王制的システムで動いていますから。


だが彼らは、この自由国家の要素を出来るだけ模倣、吸収しようとした。

米国も、先駆者として、他国が自国の政治要素を吸収するのを援助した。

第二次大戦後の時期に、米国は欧州諸国、韓国、台湾、日本などにそういう要素を持った統治体制を実現してくれた。

これが現代世界の、米国と他の先進諸国との関係です。

この米国の恩恵を、戦後日本人はいかに大きく受けていることか。

これを見逃したら、あらゆる政治見解は愚者の戯言となるのです。

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『バプテスト自由吟味者』は、なによりもます、この奇跡がどのようにして起きたかを明かしているのです。

自然な歴史状態では成立し得ないなかで、聖句自由吟味者たちが、信教自由、言論自由の国家社会を~流血の努力によって~実現した過程と構造を明かしている。

この歴史事実はこれまで、カトリック教団が主導する既成国家社会権力によって、覆い隠され、隠蔽されてきた。
世界史も彼らの都合で書き留められ、それが常識化している。

われわれは、そういう(偽りに満ちた)世界常識の中で生きている。

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本書はその事実を暴露し、正しい世界史を描いています。

日本に、いや、人類世界に必要な本だと思いませんか、自分で言うのもなんですけど。
驚くべき本だと思いませんか?

読者がそのことに驚かないのでしたら、そのこと自体を鹿嶋は驚くでしょう。


(完)
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