沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック主催の、「今こそ沖縄の基地強化をとめよう!11・28集会」に参加した(2007/11/28、全水道会館)。会場は開始されるころにはとても混んできて、200人くらいいただろうか。
●高江現地のヴィデオ上映
まず『やんばるからのメッセージ 沖縄県東村・高江の記録』(ヘリパッドいらない住民の会)が上映された。那覇防衛施設局(現・沖縄防衛局)による、高江のヘリパッド増設に向けた作業強行の様子が中心。私が赴いたときには遭遇しなかった、ごく近くでのヘリ発着は、立地的にも視線的にもマージナルな場所でなされている「暴力」を、否が応でも明らかにしている。この映像(DVD)は、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが安価に配布しているので、ぜひ多くの人に見てほしいと思う(→リンク)。
●安次富浩さん(ヘリ基地反対協議会)の発言
辺野古での座り込みをはじめ、多くの働きかけを10年間もされている安次富浩さんが、辺野古の基地建設の「ためにする」環境アセスメントが成立しえないこと、普天間基地代替というストーリーが嘘(それ以上の機能をもつ新設)であること、などを解説した。安次富さんには、辺野古を訪れたごくわずかな時間にも、いろいろと親切に教えていただいた。スピーチでも、強く柔らかい人柄があらわれていた。
○辺野古の「事前調査」(※環境アセス法には位置づけられない、違法な見切り発車調査)では、ジュゴンの生育状況を調査するため、海中カメラやパッシブソナーが用いられた。これはもともとジュゴンの生育数が多いタイで行われたものだが、生育数の少ない沖縄では意味がない。逆に、「ジュゴンは来ない」という「不在証明」として悪用されてしまう。
○辺野古に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が派遣されたことは、沖縄戦の様子と重なってみえてしまう。21世紀の「琉球処分」といってもよい。
○環境アセス上の「方法書」は欠陥だらけだ。(もし普天間代替なら)普天間基地の何の機種が配備されるのか明らかでない。埋め立ての詳細が明確でない。大浦湾を埋立てることによる環境破壊が視野に入っていない。機器を真水で洗う「洗機場」や、普天間にはない装弾所のことが記載されていない。
(※方法書に対する多くの意見が、700頁を超える資料としてまとめられている。私の意見も入っているはず。沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの方に資料データを頂いたので、じっくり読もうと思う。)
○辺野古の基地は、大浦湾を軍港として整備し、弾薬庫をかかえたものになる。まさに普天間を超える機能が考えられており、普天間代替などではない。
○政府は「日米での協議中なので方法書には掲載できない」としている。これは環境アセス上、本末転倒である。
○守屋元防衛次官の意向もあったのだろうが、いま、政府はなかなか進まない辺野古基地建設について焦っている。
○環境アセス法違反に関して、裁判に持ち込むことを検討している。
○「国策」は国民に明らかにされてこなかった。辺野古へのオスプレイ(※米軍の新型ヘリ)配備についても、政府は公式には否定しているものの米軍側から明らかになっている。しかし、以前おこなわれた名護市民投票(※辺野古の基地について住民が否定という結果)への影響をおそれ、オスプレイについて隠してきた経緯がある。
○いまでは、「国策」は、「国民をだます政策」だと思っている。
○それに対し、市民の私たちには、「抵抗権」がある。「抵抗権」を活用し発展させることが、民主主義を育てることになる。
○沖縄だけでなく、岩国や座間を含め、各地においてカネで住民を屈服させる政策が続いている。しかし、こんなものに従っていれば、戦争協力になってしまう。
○辺野古では苦しいときが多くあったが、そのときにたたかいの旗を降ろしていたら、いまではもう基地建設が始まっていたはずだ。
○辺野古も高江も、たたかいの旗を降ろさなければ住民が勝てるものだと信じている。
○守屋問題でガタガタになっている今、世論に訴えかけていくことも重要だ。
○全国からのカンパでゴムボートを2隻買うことができた。
○ぜひ現地にも足を運んでほしい。
●山城博治さん(沖縄平和運動センター)
山城さんは、山内徳信さん(参議院議員)を国会に送り込む応援や、教科書問題、嘉手納基地の「人間の鎖」などを引用しながら、現在の沖縄が置かれた状況について怒りとともに話をされた。
○岩国基地からF18ホーネットが沖縄に派遣され、嘉手納のF15とともに訓練を行うとの報道があった。
○決して「基地の負担軽減」ではない状況に、皆怒っている。
○嘉手納基地の司令官は、「軍事基地から飛行機が朝だろうが昼だろうが飛ぶのは当たり前だ。沖縄でしか苦情を受けたことはない。」などと居直っている。これが米軍再編の中身を物語っている。
○嘉手納基地にはPAC3(※迎撃用のパトリオット)が配備され、その後、パラシュート訓練が行われるなど軍事行動が活発化している。
○F15は燃料タンクや風防が落ちるなどの空中分解の事故を起こし問題になっている。その原因がわからないまま、F15の活動が再開されている。
○まさに嘉手納基地周辺は、戦場の町になっている。
○キャンプ・ハンセンの日米共同利用について、金武・宜野座・恩納の3首長が受け入れに転じた。日米一体化をすすめ、戦争を沖縄に引き入れることは、首長の権限として許されることではない。
○現在、軍事産業は利権の巣窟となっているようだ。問題が顕在化しつつあるいま、沖縄の基地利権すべてを明らかにしてほしい。それによって歯止めをかけることができる。
○最近、米軍は、八重山での配備に向けて、住民との交流や事細かな調査を行っている。米兵がビーチパーティーを行い、子ども達に「おいしい肉だよ」と呼びかける風景は何か。何と、与那国の飲み屋の軒数やその儲け具合、診療所の数まで調べている。(与那国の「Dr.コトー診療所」のセットを診療所と間違えて写真を撮影していた。)
○米軍は中国を脅威として認めている。それがどの程度であろうと、沖縄にPAC3などが配備されることは、「沖縄がミサイル戦争の戦場になってしまう」ことを意味する。
○高江での教訓は、「遠い場所であろうと何かがあれば住民の力が集まる」ことだ。その意味で、政府はたかをくくっていた。
○辺野古と同様、高江でも、粘り強いたたかいが必要だ。
(続く)
●参考
○高江・辺野古訪問記(1) 高江
○高江・辺野古訪問記(2) 辺野古、ジュゴンの見える丘
○ジュゴンの棲む辺野古に基地がつくられる 環境アセスへの意見