ロスコー・ミッチェル+デイヴィッド・ウェッセル『CONTACT』(ROGUEART、CD:2002年録音、DVD:2004年録画)を聴く。ロスコー・ミッチェルのリーダー作を買うのは、『Nine to Get Ready』(ECM、1997年録音)以来だから久しぶりだ。本来は聴くべき作品がその間にもあったはずだ。
CDとDVDとのカップリング盤で、両方ともデイヴィッド・ウェッセルがノートパソコンと奇妙なエレクトロニクスを使い、タッチパネルのような機材にターンテーブルよろしく操作することでおかしな音を出している。ミッチェルはその横で、淡々とアルトサックスとソプラノサックスを吹き続ける。
ミッチェルの音は昔から大好きで、ここでも、微妙に外れた音を泉のごとく吹きだしてくる。このオリジナリティをうまく説明できないことが歯痒い。サックスの腕前で言えば、同じアート・アンサンブル・オブ・シカゴに属したジョゼフ・ジャーマンより遥かに上だ。CDでは様々な音の表情を見せるのに対して、ライヴを記録したDVDはそうでもない。しかし、プレイ中のミッチェルを観ることができるだけで嬉しい。
CD冒頭の長い2曲は、この2002年に殺されたドラマー、オリヴァー・ジョンソンに捧げられている。アルコール中毒からホームレスになり、パリの公園のベンチで喧嘩になった結果だという。ウェッセルもパーカッシブな音を多用し、ミッチェルとともにプレイを盛り上げる。デュオだけに地味ではあるが、実は聴けば聴くほどミッチェルの味が出てくる。
そういえばオリヴァー・ジョンソンが参加した加古隆やノア・ハワードとのセッションをしばらく聴いていないなと思い出し、とりあえずスティーヴ・レイシー『WEAL & WOE』(録音1972・73年)を棚から出す(寒いからレコードが面倒で・・・)。もともとLPは違う盤で、『WEAL』がソロ、『WOE』がジョンソン入りのレイシーのクインテットである。ジョンソンのソロはやはりすさまじく、型からはみ出しまくっている。
●参照(ミッチェル、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ人脈)
○アート・アンサンブル・オブ・シカゴ『苦悩の人々』
○アート・アンサンブル・オブ・シカゴ『カミング・ホーム・ジャマイカ』
○サニー・マレイ『アフリカへのオマージュ』
○ムハール・リチャード・エイブラムス『Streaming』
○ジョゼフ・ジャーマン
○ドン・モイエ+アリ・ブラウン『live at the progressive arts center』、レスター・ボウイ
○マラカイ・フェイヴァースのソロ・アルバム
○マラカイ・フェイヴァース『Live at Last』