Sightsong

自縄自縛日記

デイヴィッド・サンボーンの映像『Live at Montreux 1984』

2014-10-04 12:43:34 | アヴァンギャルド・ジャズ

デイヴィッド・サンボーンのライヴDVD『Live at Montreux 1984』を観る。

1984年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに出演したときの映像だが、さらに、1981年に同フェスに初登場したときのサンボーンの映像もオマケとして収録されている。

<1984>
David Sanborn (as)
Larry Willis (key)
Hiram Bullock (g)
Tom Barney (b)
Buddy Williams (ds)
Ricky Lee Jones (vo)

<1981>
David Sanborn (as)
Mike Mainieri (vib)
Neil Larsen (key)
Robben Ford (g)
Marcus Miller (b)
Ricky Lawson (ds)
Lenny Castro (perc)

サンボーンは1945年生まれだというから、1984年のライヴのとき、まだ30歳になっていない。いや~、本当に若く(81年のときなど毒気さえムンムンさせている)、当然ながら、まったく枯れていない。「Hideaway」や「Straight to the Heart」などの名曲を、独特の音色で持ってキュンキュンと吹いていく。さらにハイラム・ブロックらがハイテンションではしゃぎまくるとなれば、こちらも興奮必定。

ここで、サンボーンは、少し斜に構えて浅めにマウスピースをくわえ、あごを突き出して吹いている。かれのトレードマーク的なスタイルだ。

吉田隆一さんによれば(「ドルフィー、アイラー、ブロッツマンの奏法共通項の話」)、これには訳があって、「救命救急時の気道確保同様のポジションを、首を前に出すことで立ち位置で実現している」のだという。そして、サンボーンだけでなく、エリック・ドルフィー、ペーター・ブロッツマン、アルバート・アイラー、ルー・タバキン、さらにジョン・ゾーンもその吹き方をするらしい。なるほど、面白い・・・。

ところで、最近のサンボーン参加作といえば、ボビー・ハッチャーソン『Enjoy the View』。とても期待して入手したのだが、どうも面白くない。サウンド全体も、サンボーンの音も冴えない。何でだろ。

●参照
デイヴィッド・サンボーンの映像『Best of NIGHT MUSIC』
スティーヴィー・ワンダー『Talking Book』(サンボーン参加)
ギル・エヴァンス『Svengali』(サンボーン参加)
ギル・エヴァンス『Plays the Music of Jimi Hendrix』(サンボーン参加)


ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』

2014-10-04 10:01:35 | アヴァンギャルド・ジャズ

ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(ECM、1996年)を、先日亡くなったホイーラーへの個人的な追悼として、繰り返し聴く。

Kenny Wheeler (tp, flh)
Lee Konitz (as)
Dave Holland (b)
Bill Frisell (g)

この盤が出たばかりの1997年に、新宿DUGでリー・コニッツにサインをいただこうと見せたところ、かれは「これ良いだろう!良いだろう!」と連発した。その通り、本当に良いのだ。それ以降ずっと手放さず、ときどき聴いてきた。

ホイーラーのトランペットは、『Gnu High』しかり、雲の切れ目から射してくる日光のように、音が天から降ってくるイメージを喚起する。全体としては「ECM的」とでもいうのか、哀しさを抑制したような静かな曲が並ぶ。コニッツはその中で、実に丁寧にさまざまな音色を出している。そして、ホランドは、バレリーナが爪先で立って躍るような素晴らしいベース。

耳を傾けていると、感情の閾値近くまで何かがせりあがってくる。

●参照
ジョン・サーマン『Flashpoint: NDR Jazz Workshop - April '69』
ギル・エヴァンス+リー・コニッツ『Heroes & Anti-Heroes』
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』
今井和雄トリオ@なってるハウス、徹の部屋@ポレポレ坐(リー・コニッツ『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』)
ジャズ的写真集(2) 中平穂積『JAZZ GIANTS 1961-2002』
デイヴ・ホランド『Conference of the Birds』
デイヴ・ホランド『Prism』
デイヴ・ホランド+ペペ・ハビチュエラ『Hands』
デイヴ・ホランドの映像『Jazzbaltica 2003』
カール・ベルガー+デイヴ・ホランド+エド・ブラックウェル『Crystal Fire』


トム・レイニー『Obbligato』

2014-10-04 06:57:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

トム・レイニー『Obbligato』(Intakt、2013年)を聴く。

Ralph Alessi (tp)
Ingrid Laubrock (sax)
Kris Davis (p)
Drew Gress (b)
Tom Rainey (ds)

しばしばイングリッド・ラウブロッククリス・デイヴィスのバンドのドラマーを務めるトム・レイニーが、彼女たちをメンバーに迎えたリーダー作。この盤は、意外にも、Just in Time、In Your Own Sweet Way、Reflections、Secret Love、Prelude to a Kiss、Yesterdays、If I Should Lose You、You Don't Know What Love Is、といったジャズ・スタンダード集である。

各人の見せ場を作った編曲と、その中での即興は確かに愉快で、最初はその曲と気付かないものもある。賑々しくはじまる「Just in Time」なんて、なかなか。はしゃぐ感覚のレイニーのドラムスも、全体を流麗に装飾しまくるクリス・デイヴィスもいい。ラウブロックのサックスは、高速道路での安定感のあるドライヴのようで、これもまたいい。

ただ、何もスタンダードでなくても・・・。

●参照
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone
イングリッド・ラウブロック『Zurich Concert』
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』