Sightsong

自縄自縛日記

チャーリー・ヘイデン・リベレーション・ミュージック・オーケストラ『Live 1993』

2020-02-11 20:50:12 | アヴァンギャルド・ジャズ

チャーリー・ヘイデン・リベレーション・ミュージック・オーケストラ『Live 1993』(Equinox、1993年)を聴く。2019年発表の発掘盤である。

Charlie Haden (b)
Javon Jackson, Joe Lovano (ts, fl)
Ken McIntyre (as, ss)
Earl Gardner (tp)
Tom Harrell, Earl Gardner, Tim Hagans (tp, flh)
Ray Anderson (tb)
Sharon Freeman (fhn)
Joe Daley (tuba)
Juan Lazzaro Mendolas (panpipes, wood fl)
Amina Claudine Myers (p)
Mick Goodrick (g)
Mark Burton (perc)

LMOのこれまでの作品は以下の通りである(数字は録音年)。但しECM盤はLMOを冠していない。また『Time/Life』は2曲を除きヘイデン没後に録音されている。

Liberation Music Orchestra(Impulse!、1969年)
The Ballad of the Fallen(ECM、1982年)
The Montreal Tapes(Verve、1989年)
Dream Keeper(Blue Note、1990年)
Live in Montreal(Universal、1992年)(DVD)
Live 1993(Equinox、1993年)(本盤)
Not in Our Name(Verve、2004年)
Time/Life(Impulse!、2011、2015年)

本盤のレパートリーは90年に入ってからの『Dream Keeper』や『Live in Montreal』と同じである(『The Montreal Tapes』でも「Sandino」を演奏している)。メンバーは左の2枚とかなり共通しているが、本盤には『Dream Keeper』にいたデューイ・レッドマンやポール・モチアンがいないことがやや残念。また、ちょっと録音が軽い気がする。しかしそれは言いがかりのようなもので、本盤も悪くない。

聴き所はたくさんある。他と同様に、熱気で攻めるケン・マッキンタイアのアルト。「Sandino」や「Spiritual」における独特の雲のようなトム・ハレルのトランペットとフリューゲルホーン。「Nkosi Sikhelel' iAfrika」でのオペラ歌手のごとき下から粘るジョー・ロヴァーノのテナー(ロヴァーノや『Dream Keeper』に比べると、ジャヴォン・ジャクソンも『Dream Keeper』でのブランフォード・マルサリスも影が薄いがこれは仕方がない)。「Dream Keeper Suite」での枷が外れたような熱いアミナ・クローディン・マイヤーズのピアノ。

もちろんLMOの持つ政治や社会への想いのようなものが音楽の力(この言葉がいやだという人がいたね)に直結しており、やはりアウラをまとっている。いちどはこのオケを観たかった。

●チャーリー・ヘイデン
チャーリー・ヘイデンLMO『Time/Life』(2011、15年)
アルド・ロマーノ『Complete Communion to Don Cherry』とドン・チェリーの2枚(1965、88、2010年)
パット・メセニーとチャーリー・ヘイデンのデュオの映像『Montreal 2005』(2005年)
チャーリー・ヘイデンとアントニオ・フォルチオーネとのデュオ(2006年)
アリス・コルトレーン『Translinear Light』(2000、04年)
Naimレーベルのチャーリー・ヘイデンとピアニストとのデュオ(1998、2003年)
ギャビン・ブライヤーズ『哲学への決別』(1996年)
リッキー・リー・ジョーンズ『Pop Pop』と『Pop Pop at Guthrie Theater 1991』(1991年)
チャーリー・ヘイデン+ジム・ホール(1990年)
ポール・ブレイ+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン『Memoirs』(1990年)
ゴンサロ・ルバルカバ+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン(1990年)
ジェリ・アレン+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン『Segments』(1989年)
シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』 再見(1985年)
ジェーン・アイラ・ブルーム『Mighty Lights』(1982年)
パット・メセニー『80/81 in Stockholm』(1981年)
チャーリー・ヘイデン+ヤン・ガルバレク+エグベルト・ジスモンチ『Magico』、『Carta De Amor』(1979、81年)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』(1979年)
キース・ジャレット『Eyes of the Heart』(1976年)
70年代のキース・ジャレットの映像(1972、76年)
キース・ジャレットのインパルス盤(1975-76年)
キース・ジャレット『Arbour Zena』(1975年)
アリス・コルトレーン『Universal Consciousness』、『Lord of Lords』(1971、72年)
1972年6月のキース・ジャレット・トリオ(1972年)
キース・ジャレット+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン『Hamburg '72』(1972年)
オーネット・コールマン『Ornette at 12』(1968年)
オーネット・コールマンの最初期ライヴ(1958年)
スペイン市民戦争がいまにつながる


ペーター・コヴァルト『Total Music Meeting 1997 - Solo Bass』

2020-02-11 09:11:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

ペーター・コヴァルト『Total Music Meeting 1997 - Solo Bass』(FMP、1997年)を聴く。

Peter Kowald (b)

FMPからの発掘盤だがデジタルリリースのみだろうか。

ベルリンの第30回Total Music Meetingにおけるコントラバスソロであり、1時間弱の演奏が2回。コヴァルトの音色は絹のようだと思ってきたけれど、ここではそれどころでない異様な音が放出されている。

たしかに低音がマッスとなって攻めてくるのではないから絹的ではある。しかしそれに加え、金属が震えるような高周波の音、コントラバスの胴体の中で反響したようなくぐもった音、内部をえぐりだすような音、それらが喉歌を思わせる倍音をさらに拡張させていくつもの周波数の山を持って、共鳴によるうなりも伴って、聴く者を取り囲む。文字通り魅惑的。

●ペーター・コヴァルト
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)(コヴァルトのコントラバスを使った作品)
アシフ・ツアハー+ペーター・コヴァルト+サニー・マレイ『Live at the Fundacio Juan Miro』(2002年)
アシフ・ツアハー+ヒュー・レジン+ペーター・コヴァルト+ハミッド・ドレイク『Open Systems』(2001年)
ペーター・コヴァルト+ローレンス・プティ・ジューヴェ『Off The Road』(2000年)
ラシッド・アリ+ペーター・コヴァルト+アシフ・ツアハー『Deals, Ideas & Ideals』(2000年)
ペーター・コヴァルト+ヴィニー・ゴリア『Mythology』(2000年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、1991、1998年)
ペーター・コヴァルト『Was Da Ist』(1994年)
ジュリアス・ヘンフィル+ペーター・コヴァルト『Live at Kassiopeia』(1987年)
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(1985年)
高柳昌行+ペーター・コヴァルト+翠川敬基『Encounter and Improvisation』(1983年)