水道橋のFtarri(2020/3/25)。
Kazuya Matsumoto 松本一哉 (perc)
Hisaharu Teruuchi 照内央晴 (p)
Yumiko Yoshimoto 吉本裕美子 (daxophone, g)
最初は吉本・照内デュオ。どちらとも共演したことのない松本さんはふたりの演奏を観察する。
ダクソフォンの長く連続的な「声」の横で、ピアノが和音を少しずつ挿入するのだが、和音がしばしばそうであるように音風景の広がりを担う。吉本さんのダクソフォンは声から幻視されるなにものかの人格がじわじわと変わっていくようでおもしろい。別々の相での協力にみえたが、やがて照内さんのほうから移動し、同じ相の中で音を重ねたように思えた。
次に吉本・松本デュオ。ダクソフォンは先よりも短めの音価をもってあれこれを語る。しばらく正座して動かず、なぜかスマホでセルフポートレイトなどを撮っていた松本さんだが、程なくして、背後の響きを持ち込んできた。主に銅鑼によって、楽器の形や撫でる動きと相似形の大きな円を思わせる響きをもたらした。
休憩を挟んで、照内・松本デュオ。ふたりとも意図したものかどうか、互いの音の擬態があらわれた。ピアノによって金属の冷たい響きが発せられ、銅鑼やいくつかの塊は音をピアノのようにあちこちに跳ねさせた。そのような相互侵入の共演に聴こえた。
最後にトリオ。これまでよりも各々の音が断片化され、無数のフラグメンツが空中にばらまかれる。それらの衝突を感知して次の演奏に移るのだろうけれど、それは敢えてなのかさほど機敏には示されなかった。どちらかと言えばまずは他者の音を得て自分の演奏を行ううえでの思考に取り込んだように思えた。
Fuji X-E2、7artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4
●吉本裕美子
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+吉本裕美子+照内央晴@高円寺グッドマン(2018年)
●松本一哉
August Moon@浜町August Moon Cafe(2019年)
田上碧+徳永将豪+松本一哉@Ftarri (2019年)
松本一哉+加藤裕士「消尽」@銀座奥野ビル306号室(2019年)
●照内央晴
照内央晴+加藤綾子@本八幡cooljojo(2020年)
神保町サウンドサーカス(直江実樹+照内央晴、sawada)@神保町試聴室(2020年)
豊住芳三郎+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2020年)
千野秀一+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2019年)
奥田梨恵子+照内央晴@荻窪クレモニア(2019年)
豊住芳三郎+コク・シーワイ+照内央晴@横濱エアジン(2019年)
照内央晴+加藤綾子@神保町試聴室(2019年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴@なってるハウス(2019年)
豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)(2019年)
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2019年)
吉久昌樹+照内央晴@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2019年)
照内央晴、荻野やすよし、吉久昌樹、小沢あき@なってるハウス(2019年)
照内央晴+方波見智子@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+吉本裕美子+照内央晴@高円寺グッドマン(2018年)
照内央晴+川島誠@山猫軒(2018年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2018年)
『終わりなき歌 石内矢巳 花詩集III』@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2018年)
Cool Meeting vol.1@cooljojo(2018年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴+方波見智子+加藤綾子+田中奈美@なってるハウス(2017年)
ネッド・マックガウエン即興セッション@神保町試聴室(2017年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)
照内央晴「九月に~即興演奏とダンスの夜 茶会記篇」@喫茶茶会記(JazzTokyo)(2016年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)