飛行機の中で、ギレルモ・デル・トロ『クリムゾン・ピーク』(2015年)を観る。
20世紀初頭のニューヨークにおいて、資産家の娘が、粘土掘りの機械を開発しようとする野心を持った実業家の男に騙され、結婚する。男の実家は英国の古く大きな洋館。かれは人殺しであり、その背後には姉との関係があった。洋館には犠牲者たちの幽霊があらわれた。
なかなか雰囲気のあるゴシック・ホラーだが、言ってみれば、見どころはそれだけだ。騙される娘は、亡くなった母親の霊から「クリムゾン・ピークに気をつけろ」と忠告されていて、その赤い丘が洋館の建つ地であった。だが、迫りくる運命的な「赤」を使うなら、ニコラス・ローグ『赤い影』のほうが1万倍怖くて巧い。