千駄木のブーザンゴで「ルネ・シャールを語る夜」(詩人の野村喜和夫さん、フランス文学の桑田光平さん)。
野村さんはむかしからファンで、拙著の出版記念イヴェントでも詩を朗読していただいたのだった。
野村さんはシャールのことをランボーのあとに来た大地の詩人だと位置づけ、それもあって埼玉で生まれ育った野村さんは根拠のようなものをシャールの詩に見出したのだという。シャールのプロヴァンス、宮沢賢治のイーハトーヴ、野村さんにとっての埼玉が(小さくても)詩的大地であり、(小さくても)川があった。
シャールは驚くほどの女好きでもあった。かれを野村さんは「現代詩のカサノヴァ」、「現代詩のゼウス」と呼び、詩人にとっての大地と結びつけて「シャールがピュシスであったのでは」と指摘する。それどころか、女性との関係をめぐってシュルレアリストたちと諍いがなかった(らしい)ことをもって「交換の記号にしていたのでは」と。おもしろいなあ。
シャールの詩にあるアフォリズム的なものについて質問しようと思ったら会場の専門家から発言があった(素人が間抜けなことを言わなくてよかった)。野村さんによれば、あえてフレーズからフレーズへの連続性をもとめないことで断片性が豊かになっているのだ、フラグメントでしか書けない世界の真実があるのだ、と。
●参照
天沢退二郎
石原吉郎 - 野村喜和夫
松本泰子+メアリー・ダウマニー+丸田美紀@音や金時
松本泰子+庄﨑隆志+齋藤徹@横濱エアジン(『Sluggish Waltz - スロッギーのワルツ』DVD発売記念ライヴ)
野村喜和夫+北川健次『渦巻カフェあるいは地獄の一時間』