武田崇元+横山茂雄『霊的最前線に立て! オカルト・アンダーグラウンド全史』(国書刊行会、2024年)。おもしろいどころの話ではなく全頁で爆笑と感服。「永久騒乱状態に終止符が打たれた果てに登場したのがネトウヨと国民主義リベラル。これでみんな家畜人になってしもうたんや」ってその通りなんだけど身も蓋もない。
妙に大本ネタが多いなと思ったら、武田崇元の妻は出口王仁三郎の曾孫。それにしても土俗系ローカルチャー(出口なお)と西洋系ハイカルチャー(王仁三郎)とが混淆して核融合反応なんてよく言ったものだ。王仁三郎に接近した合気道の始祖・植芝盛平のわけのわからなさについても触れてほしかったところ。
僕は『齋藤徹の芸術』においてムー大陸のトンデモ論を妄想したジェームズ・チャーチワードのことに言及したけれど、王仁三郎はそれについて「ほれ見なさい、わしが言うたとおりやろ」と書いていたらしい。うう、踏み込みが甘かった(笑)。それどころか、同時代のH・P・ラヴクラフトはその文明を作ったのが人間の祖先ではないと設定した点でより独創的だった、とか、鋭すぎる指摘。
恐れ入りました。
●参照
大野英士『オカルティズム』
大野英士『ユイスマンスとオカルティズム』
J・K・ユイスマンス『さかしま』
グッゲンハイム美術館のマウリツィオ・カタラン「America」、神秘的象徴主義、ブランクーシ
出口京太郎『巨人 出口王仁三郎』、早瀬圭一『大本襲撃』
『大本教 民衆は何を求めたのか』
原武史『<出雲>という思想』