このところ、三上寛『YAMAMOTO』(Donburi Disk、2013年)をやたらと聴いている。
タイトルは、ジャケットのイラストを描いている漫画家の山本直樹から取られたものであり、それ以上の意味はない(たぶん)。別に、『あさってDANCE』や『レッド』の世界が展開されているわけでもない(たぶん)。
三上寛(vo, g)
道下慎介(g)
亀川千代(b)
高橋幾郎(ds)
それにしても、相変わらず、とんでもなくわけがわからない。囁いたり叫んだりする言葉はわかるが、それが何なのかわけがわからない。そして、三上寛はそのまま向こう側へと突破する。聴くほうは陶然としてしまい、欲と念が渦巻く無重力の時空間に連れ込まれる。
「ハナクソ君が僕にこう言った/寛さん、オオイヌノフグリを踏んでるよって/
僕はハナクソ君にこう言った/いや踏んでないよ踏んでないよって/
どっちが本当なんだろう/どっちが間違ってるんだろう/
わからない!わからない!わからない!」
(「ハ~LINES DRAWN TOWERS」)
沖縄の唄「十九の春」においては、男女の情を唄う途中に、突然、「コザ暴動!コザ暴動!コザ暴動!」と叫んだりもする。すべては同じところにあるのであり、すべてをかき乱す。
うねるベースとの相性がこんなに良いということも発見だった。林栄一のサックス(四人幇『オレ達の事情』)や、川下直広のサックス(『エアボーン』)との相性も抜群だと思っていたのだが。
●参照
○『貘さんの詩がきこえる』(三上寛が山之口貘を唄う)
○どん底とか三上寛とか、新宿三丁目とか二丁目とか
○中央線ジャズ
○三上寛+スズキコージ+18禁 『世界で一番美しい夜』
○『田原総一朗の遺言2012』