NHKで『Sound Trip ジャジューカ モロッコへの旅』を観たら存外におもしろい。
魅了された欧米の音楽家としてストーンズのブライアン・ジョーンズのことだけでなく、アーチー・シェップの写真も一瞬だけ登場する。近くのアルジェリアやトゥアレグの音楽家たちとの共演ではあるけれど、シェップの『Live at the Pan-African Festival』にはやはり陶酔の魔力がある。それにもちろんオーネット・コールマンの『Dancing in Your Head』。
番組では作家ポール・ボウルズのことを多く取り上げていた。たしかにボウルズが50年代にモロッコで録音した音を集めた作品は宝の箱。 この魔法は、使う楽器がダブルリードであることにもよるのかな。ジャジューカのガイタ、それから雅楽の篳篥、韓国シャーマン音楽のホジョク。周波数が微妙に連続的に変化し、持続音となり、聴く者はすべて武装解除させられる。
●参照
ポール・ボウルズ『孤独の洗礼/無の近傍』(1957、63、72、81年)
ポール・ボウルズが採集したモロッコ音楽集『Music of Morocco』(1959年)