コロナ禍でSOMPO美術館もお休みに入ってしまうと気づき、あわてて「モンドリアン展」を観てきた。
やっぱり眼が悦ぶ。あらためて認識したことは、代表的なコンポジションの作品群がたんに構成主義的なものではなくトポロジー的でもあったこと。それは分割要素から成るものではない(だから生活美を追求したオランダのデ・ステイル運動から離脱した)。
またモンドリアンは静的とみなされるのを嫌った。1937年の「線と色のコンポジション:III」に二重線が導入されているのは、ジャズからインスパイアされて動的な性格を持たせようとしたためだという。テオドール・アドルノがジャズについて「演奏(interpretation)の一マニール」と否定的に書いたのが1936年(『プリズメン』、1955年)。その後ビバップが登場し、アドルノのジャズ論は無理解の典型として評価されるようになったけれど、アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハへのインタビューでもこのことが引用されていたし(2008年の動画)、いまもジャズや即興に対する言説の歴史として共有されている。ちなみにアンリ・マティスの軽やかな『ジャズ』は1947年。
開場にはヘリット・リートフェルトの椅子がいくつも展示されていて、それも嬉しい。デ・ステイルいいなあ。日本ではじめてデ・ステイルの大々的な展覧会が開かれたのは1998年頃で(池袋のセゾン美術館に観にいった)、すごく気持ちよかった記憶がある。図録がどこかにあるはずだし発掘しよう。
SOMPO美術館は5月11日まで臨時休館だそうです。いい展覧会なので復活したらぜひ。