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自縄自縛日記

『木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり』@目黒区美術館

2022-02-20 14:19:30 | 写真

目黒区美術館の『木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり』展。木村伊兵衛が1954、55年にパリに取材旅行したときの作品群であり、眼が悦ぶ。異邦人としてパリの重みにやられてしまったのかなと思える写真も無くはないが、雑踏で近くの人を捉えたショットなんてさすが木村伊兵衛。

同時期の勅使河原宏によるドキュメンタリー映画『十二人の写真家』にも木村が登場し、(本当に)笑ってしまうほどの早わざでスナップを撮る驚異の場面があったことを覚えている。しかしパリの写真には出たばかりの富士フイルムのカラーリバーサルが使われていて、なんとASA(ISO)10。日本国内のように瞬速で撮影できなかったかもしれないし、実際、写真をじろじろ見ると手ブレも被写体ブレも結構ある。夕方なんてわりと明るくても8分の1くらいだったんじゃないかしら。(とは言え、木村の白黒写真だってそれなりにピンボケもブレもある。)

カメラは1954年に発売された直後のライカM3。室内にはなぜか濱谷浩の使っていたブラックペイントモデルが展示してあり(ズミルックス50mmF1.4)、木村もブラックを使っていたと書かれている。しかしパリでの木村を撮ったアンリ・カルティエ=ブレッソンの写真を見ると木村は首からシルバーのM3をぶらさげているし、そのブレッソンが目立たぬようM3に黒いパーマセルテープを貼っているのに配慮してライツがブラックのM3を提供したはずだから、やっぱり木村はパリでシルバーのM3を使ったのだろうと思う。 そんなわけで久しぶりにM3のシャッターを切ってみたら異常なほど快感。しばらくフィルムを通していないしまた使おう。

●木村伊兵衛
勅使河原宏『十二人の写真家』(1955年)


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