Sightsong

自縄自縛日記

佐藤允彦+豊住芳三郎『The Aiki 合気』

2020-02-09 09:10:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

佐藤允彦+豊住芳三郎『The Aiki 合気』(NoBusiness Records、1997年)を聴く。

Masahiko Satoh 佐藤允彦 (p)
Sabu Toyozumi 豊住芳三郎 (ds)

40分と20分の手合わせ。ほとんど感嘆しかできないようなものである。

演奏の個性としては似ているところと全く対称的なところがある。引き出しの無尽蔵さは似ている。佐藤さんの余裕をもって繰り出してくるフレーズやそのタイミングなんて、ぎりぎりに演奏者が追い込まれた感覚が皆無だからつまらない、のではなく、それを遥かに通り越して素晴らしい。

豊住さんは攻める側でも受ける側でも、おそらく脳内に出てきたイメージを一瞬もそこにとどまらせて分析することなく音にしてみせる。引き出しはストックというよりは通過点。

1曲目の後半で、豊住さんがマーチングバンド的な音に化け、それに対して佐藤さんは短絡せず見守る時間があって、ちょっとふたりの個性が出ているようで笑ってしまった。

●佐藤允彦
ニュージャズホールって何だ?@新宿ピットイン(2018年)
TON KLAMI@東京都民教会(2016年)
高瀬アキ+佐藤允彦@渋谷・公園通りクラシックス(2016年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男@新宿ピットイン(2014年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』(2011年)
『ASIAN SPIRITS』(1995年)
TON-KLAMI『Prophecy of Nue』(JazzTokyo)(1995年)
『老人と海』 与那国島の映像(1990年)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)
アンソニー・ブラクストン『捧げものとしての4つの作品』(1971年)

●豊住芳三郎
豊住芳三郎+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2020年)
豊住芳三郎+コク・シーワイ+照内央晴@横濱エアジン(2019年)
豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)(2019年)
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
ジョン・ラッセル+豊住芳三郎@稲毛Candy(2018年)
謝明諺『上善若水 As Good As Water』(JazzTokyo)(2017年)
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
豊住芳三郎『Sublimation』(2004年)
ポール・ラザフォード+豊住芳三郎『The Conscience』(1999年)
アーサー・ドイル+水谷孝+豊住芳三郎『Live in Japan 1997』(1997年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)


神保町サウンドサーカス(直江実樹+照内央晴、sawada)@神保町試聴室

2020-02-08 09:56:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

神保町試聴室(2020/2/7)。

Miki Naoe 直江実樹 (radio)
Hisaharu Teruuchi 照内央晴 (p)
sawada (snare)

ファーストセット、直江+照内。照内さんはしばらくは左手だけでピアノを弾き、直江さんも場の中にじわじわと電波を忍び込ませる。ラジオの操作は指によるものだけではなく、揺り動かしたり、客席の後ろまで歩いたりして、侵入させる電波を絵具のように振り撒いている。電波に乗って入ってくる言葉により、目の前の空間が割れて別次元の世界が視えるようだ(『ウルトラマンA』で空が割れてヤプール人の世界が視える、あのイメージ)。意思を持つのか持たないのか不明なラジオのサウンドに対し、照内さんは緩急で呼応した。途中で、ピアノにより小さなおとぎ話を作ろうとする時間もあった。ピアノはどうあってもピアノであり、共演者をアコースティックのみに限らなくてもおもしろい。

セカンドセット、直江+sawada。sawadaさんの楽器はスネアドラムひとつに様々な皮のアタッチメント、様々なスティックと、実にユニークである。先のデュオとはまるで異なるサウンドになったのはピアノと打楽器との違いか。スネアの音は皮やスティックによっても叩き方によっても大きく異なるのだが、おもしろいことにsawadaさんはそれを淡々とこなしていく。ラジオはリズムのうえで踊るダンサーであったり、リズムとともに向こう側へと爆走する者であったり、互いに異なるフリクションを作り出す存在であったりした。sawadaさんは最初と最後は皮のアタッチメントを付けずシンプルに静寂と共存し、それがサウンド全体を構造的なものに感じさせた。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4、7artisans 12mmF2.8

●直江実樹
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
合わせ鏡一枚 with 直江実樹@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
フローリアン・ヴァルター+直江実樹+橋本孝之+川島誠@東北沢OTOOTO
(2018年)

●照内央晴
豊住芳三郎+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2020年)
千野秀一+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2019年)
奥田梨恵子+照内央晴@荻窪クレモニア(2019年)
豊住芳三郎+コク・シーワイ+照内央晴@横濱エアジン(2019年)
照内央晴+加藤綾子@神保町試聴室(2019年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴@なってるハウス(2019年)
豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)(2019年)
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2019年)
吉久昌樹+照内央晴@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2019年)
照内央晴、荻野やすよし、吉久昌樹、小沢あき@なってるハウス(2019年)
照内央晴+方波見智子@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+吉本裕美子+照内央晴@高円寺グッドマン(2018年)
照内央晴+川島誠@山猫軒(2018年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2018年)
『終わりなき歌 石内矢巳 花詩集III』@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2018年)
Cool Meeting vol.1@cooljojo(2018年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴+方波見智子+加藤綾子+田中奈美@なってるハウス(2017年)
ネッド・マックガウエン即興セッション@神保町試聴室(2017年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)
照内央晴「九月に~即興演奏とダンスの夜 茶会記篇」@喫茶茶会記(JazzTokyo)(2016年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)


「JazzTokyo」のNY特集(2020/2/1)

2020-02-07 07:59:34 | アヴァンギャルド・ジャズ

「JazzTokyo」のNY特集(2020/2/1)では、パトリック・シロイシへのインタビューを翻訳・寄稿した。といってもインタビュアーのシスコ・ブラッドリーがNY在住なだけで、パトリック・シロイシはロサンゼルス近郊で活動している。

>> 連載第40回 ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 パトリック・シロイシへのインタビュー

Photo by Turbo

●パトリック・シロイシ
パトリック・シロイシ『Descension』(2019年)
パトリック・シロイシ『Bokanovsky’s Process』、『Tulean Dispatch』、『Kage Cometa』(JazzTokyo)(2018年)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/4/1)

●Jazz Right Now
「JazzTokyo」のNY特集(2020/1/4)
「JazzTokyo」のNY特集(2019/7/6)
「JazzTokyo」のNY特集(2019/6/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2019/4/7)
「JazzTokyo」のNY特集(2019/3/2)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/12/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/10/6)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/9/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/8/5)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/7/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/4/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2018/1/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/12/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/9/30)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/9/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/8/1)

「JazzTokyo」のNY特集(2017/7/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/5/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/4/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/3/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/2/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/10/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/9/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/8/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/7/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/6/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/5/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/4/1)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/1/31)
「JazzTokyo」のNY特集(2015/12/27)
「JazzTokyo」のNY特集(2015/11/21)
「JazzTokyo」のNY特集(2015/10/12)
「JazzTokyo」のNY特集(2015/8/30)
「JazzTokyo」のNY特集(2015/7/26)


喜多直毅+元井美智子+久田舜一郎@松本弦楽器(JazzTokyo)

2020-02-07 07:52:21 | アヴァンギャルド・ジャズ

代々木の松本弦楽器(2020/1/18)。喜多直毅、元井美智子、久田舜一郎によるギグのレビューをJazzTokyo誌に寄稿した。

>> #1121 喜多直毅+元井美智子+久田舜一郎

Naoki Kita 喜多直毅 (vln)
Michiko Motoi 元井美智子 (三味線, 箏)
Shunichiro Hisada 久田舜一郎 (小鼓)

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8

●喜多直毅
ロジャー・ターナー+喜多直毅+内橋和久@下北沢Apollo(2019年)
ハインツ・ガイザー・アンサンブル5@渋谷公園通りクラシックス(2019年)
喜多直毅+西嶋徹『L’Esprit de l’Enka』(JazzTokyo)(-2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
喜多直毅+元井美智子+フローリアン・ヴァルター@松本弦楽器(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
喜多直毅+翠川敬基+角正之@アトリエ第Q藝術(2019年)
熊谷博子『作兵衛さんと日本を掘る』(2018年)
喜多直毅クアルテット「文豪」@公園通りクラシックス(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(2018年)
ファドも計画@in F(2018年)
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)
黒田京子+喜多直毅@中野Sweet Rain(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
喜多直毅クアルテット@求道会館(2017年)
ハインツ・ガイザー+ゲリーノ・マッツォーラ+喜多直毅@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
喜多直毅クアルテット@幡ヶ谷アスピアホール(JazzTokyo)(2017年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)
喜多直毅+田中信正『Contigo en La Distancia』(2016年)
喜多直毅 Violin Monologue @代々木・松本弦楽器(2016年)
喜多直毅+黒田京子@雑司が谷エル・チョクロ(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)http://www.jazztokyo.com/best_cd_2015a/best_live_2015_local_06.html(「JazzTokyo」での2015年ベスト)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
寺田町の映像『風が吹いてて光があって』(2011-12年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年) 

●元井美智子
喜多直毅+元井美智子+フローリアン・ヴァルター@松本弦楽器(2019年)

●久田舜一郎
齋藤徹+久田舜一郎@いずるば(2019年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)


アーロン・ネイムンワース+ダニエル・カーター+ジョー・ヘルテンシュタイン+ザック・スワンソン『Live at the Bushwick Series』

2020-02-07 07:28:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

アーロン・ネイムンワース+ダニエル・カーター+ジョー・ヘルテンシュタイン+ザック・スワンソン『Live at the Bushwick Series』(gaucimusic、2018年)を聴く。

Aron Namenwirth (g)
Daniel Carter (woodwinds)
Zach Swanson (b)
Joe Hertenstein (ds)

スティーヴン・ガウチが毎月曜日にブルックリンのブッシュウィックで主催するギグのひとコマである。

ダニエル・カーターの多楽器奏者としての個性はとても変わっている。管楽器でありながら従来のフロント的に主旋律やアドリブをわがものにするでもなく、かといってアンサンブルに貢献する意識があるでもなく、そして決して埋没などしない。小節の区切りだとか短期的な主導だとかは過激に棄て去られ、もっと達観して広い時間単位でサウンドを動かしているようだ。

これに対し、アーロン・ネイムンワースがまたおもしろいアプローチで絡む。ふわっと漂うカーターの雲に事件のように楔を打ち込んだり、カーターがトランペットを吹くときにどちらがギターかトランペットかわからなくなるようなあり方で並走したり、その相互の立ち位置が変わり続ける。

それゆえに、ベースが低音を刻むことが単なるリズムの役割ではなく、その意味を問われているようなあり方になっている。そのことはジョー・ヘルンシュタインのドラムスも同様で、ガジェットの服を脱いだり着たり、前に出たり後ろに退いたり。

つまり管楽器とギターが入ったカルテットだと思って聴くと混乱するし損をする。なぜこの4人は同じ場で共演しているのかと絶えず意識しながら聴いてしまい、それがまたおもしろい。固まった観念を平然と崩してくれる音楽。推薦。

●アーロン・ネイムンワース
アーロン・ネイムンワース+エリック・プラクス+ショーン・コンリー+ジョン・パニカー『Hurricane』(2018年)
Bushwick improvised Music series @ Bushwick Public House(2017年)

●ダニエル・カーター
ダニエル・カーター+ウィリアム・パーカー+マシュー・シップ『Seraphic Light』(JazzTokyo)(2017年)
マシュー・シップ『Not Bound』(2016年)
トッド・ニコルソン+ニューマン・テイラー・ベイカー+ダニエル・カーター@6BC Garden(2015年)
ダニエル・カーター『The Dream』、ウィリアム・パーカー『Fractured Dimensions』(2006、03年)
『TEST』(1998年)

●ジョー・ヘルテンシュタイン
ジョー・ヘルテンシュタイン『HNH』(2013年)


『点字呼吸の領域』

2020-02-05 21:04:39 | アヴァンギャルド・ジャズ

『点字呼吸の領域』(Armageddon、2019年)を聴く。

Rachel Musson (sax)
Naoko Saito 齋藤直子 (sax)
Audrey Lauro (sax)

女性サックス奏者3人のソロ集。ジャケットには点字が施されている。

英国のレイチェル・マッソンはジョン・エドワーズやパット・トーマスなんかとの共演歴がある人で、ロンドンのCafe OTOでのライヴ盤もある。いきなり様々な音波を束のようにして放つブロウに驚くが、音量のレンジの広さも印象的。これなら他の楽器も懐深く受け容れられそうだけれど、サックスとは別のものにも思える。

齋藤直子さんのプレイはもう2年以上観ていない、飲みには行くのだけれど。これを聴くとその間にかなり変貌している感がある。マッソンが吹き方を変えて音量をドラスティックに変化させるのに対して、直子さんはフレーズの中で音量をかなり幅広く連続的にコントロールしている。それに加えて、進む方向への指針を頑なに握って、その先に向かってソロを展開している印象がある。本人がどう言うかわからないけれど奇妙に物語的。

ベルギーのオードリー・ラウロは表現や音色が多彩。重音にバラエティがあって、ソロの音の連なりは楽器依存的(サックスを感じさせる)。この人もピーター・エヴァンスやマーク・リボーなどただごとでない共演をしている。

面白かった。サックスソロにはまだまだ表現のポテンシャルがあるのだなと思える。

●齋藤直子
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)


金澤英明+栗林すみれ(二重奏)@小岩Cochi

2020-02-02 09:25:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

小岩のCochi(2020/2/1)。

Hideaki Kanazawa 金澤英明 (b)
Sumire Kuribayashi 栗林すみれ (p)

ここに来るのは久しぶりで、前はたぶん入院生活から脱け出して間もなくだったから1年半ぶりくらい。

乗り換えを間違えて10分ほど遅れて入ると、「It Might As Well Be Spring」らしき旋律が耳に入ってきた。栗林さんについては、レコードから清冽な音のピアニストだという印象を持っていた。それは確かにそうで、ハミングとのユニゾンや和音がさらにその効果を高めていた。

金澤さんのピチカートはぶんぶん太く駆動するのに、押しも引きもオトナな感じ。音の端っちょの軋みがなかなか素敵だった。

各曲の演奏はわりと長めだった。というのはピアノにしてもベースにしても、主旋律に入る前にその曲の世界を模索するプロセスがあって、それゆえに、世界の真ん中に持ってこられるとちょっと嬉しい。富樫雅彦の「Waltz Step」なんてピアノのアドリブが創出した新たな旋律が素晴らしかった。

●金澤英明
松丸契『THINKKAISM』(2019年)
栗林すみれ『The Story Behind』(2018年)
アーロン・チューライ@新宿ピットイン(2016年)

●栗林すみれ
栗林すみれ『The Story Behind』(2018年)