久しぶりのコクーン歌舞伎です。
脚本は宮藤官九郎さんだけあって、歌舞伎と言っても「マジ?」など現代語がいっぱい並んで笑えます。
人は魔が差す一瞬があるのでは・・・と考えさせられます。主人公である法策(後の天日坊)を勘九郎さんが演じます。両親はわからず、孤児なのだけどとっても良い人だったと思うのですよ。
でも、お世話になっている(している)おばあちゃんの話・・・孫が頼朝のご落胤だったけど、亡くなってしまった。それでもご落胤の証拠の書付をもっている・・・と、この話を聞いた瞬間、魔が差すんですね。ちょっと考え直すけど、結局おばあちゃんを殺してしまいます。
そしてなりすます・・・・・それだけでは、終わらない。法策は本当は木曾義仲の子、義高なのだと、盗賊お六(七之助さん)が見抜く。このお六も実は義仲の家臣、今井四郎の娘なのね。こうやって書くと複雑なのだけど、これを面白おかしく演じてくれます。
この物語のテーマは『俺は誰だぁ~~』という事。切なくなってしまいますよね。自分自身がわからなくなる。存在がわからない・・・・最後は幸せにはなれないですよね。
巳之助さんが演じる北条時貞が、おぼっちゃまというかやたらに軽くて、ものすごく笑えました。
歌舞伎役者だけでなく、白井晃さん、近藤公園さんたちも出演しています。
勘九郎さん、七之助さんお二人ともとっても素敵です。立派に若手を引っ張っているんだろうな~と思いました。
私は七之助さんが好きなのですが、いつ観ても美しいです。今回は美しいだけでなく、凄みや立ち回りも観る事が出来て満足でした。
そして、音楽がとっても素敵です。今回はお囃子はないということで、パーカッションやトランペットが効果音になっています。特に、ラストのトランペット奏者が6人?7人かな?並んでの演奏は迫力ありよかったなぁ。トランペットの音色が悲しくもあり、勇ましくもありピッタリだったと思います。