森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヤマハハコ 花

2012年08月17日 | 自然観察日記
キク科特有の頭状花序つくりますがそれを幾つか集めた形で、花はおびただしい数で構成されています。いったいいくつの種子を生産しているのでしょうか(一説では雌雄異株とされています)。この花の白い色は濁りがないのでさほど大きな花ではないのですが良く目立ちます(昆虫の眼に良く見える紫外線が沢山反射されるタイプの花かもしれません)。もくもくした綿毛は寒さに対応したものだとか紫外線対策だとかいわれています。高所や寒地に適応した形態なのでしょう。

シナノキ

2012年08月16日 | 自然観察日記
道路わきにシナノキがありました。シナノキは長野の県の木だそうですが、このシナノキは街路樹ではなくて自然に生育しているようでした。新潟でも山地に時々自生を見ます。同属のオオバボダイジュが低山にも普通にあるのに対して、シナノキはやや高所にあるようですから、長野県などには多いのでしょう。
樹皮は強靱で、繊維を取っていろいろと生活に役立てています。シナ布やロープをつくるのに使われます。そんな事情もあって案外里の近くに栽培されていることがあって、自然のものかどうかは紛らわしいものです。

シナノキ 花

2012年08月16日 | 自然観察日記
ちょうど花の時期で沢山の花がついていました。花は5数性で両性花。花序は特徴ある形で、柄には数個から10個ほどの花をつけ、その基部にヘラ状の苞葉が付いています。これはシナノキ科特有の種子を遠くに飛ばす仕組みと考えられますが、落として実験してみるとほとんど真下に落ちますから、よほどの強風でないとその効果はないようですね。
さらに、シナノキの仲間の葉の形がユニークで、葉身の基部が歪んでいて左右対称形にはならないのです。

菅平散策から ヤナギランとシシウド

2012年08月15日 | 自然観察日記
大学時代というと今から40年以上も前の話になるのですが、本当に久々に訪れました。当時はスキーで来ていたのでどこがどうという比較は出来ませんが、あちこちにいろいろな施設やら別荘が立ち並んでいますから大変りしていることは確かでしょう。
その一角、蜂の原に車を置くとヤナギランやシシウドなどの高茎草本が花をつけて高原の夏を演出していました。晴天続きで長岡もとても暑い日々が続いていましたが、ここに流れる風はとてもさわやかで気持ちのいいものでした。

ユウスゲ

2012年08月15日 | 自然観察日記
草原の一角にユウスゲが花を閉じていました。名前のとおり夕刻に花を咲かせ明け方には閉じる1日花ですから、まだ10時頃なのですがご覧のとおりの風情のなさ。もっと回りに個体数が多くあれば1個体くらいはとぼけたものがあってもいいのですが、この1個体しか目に付きません。個体群密度は多くないようなのです。あいにく花を咲かせた個体に会うことは出来ませんでした。
新潟には存在しない種ですから、個人的にはユウスゲの花咲く草原に佇んでみたいという憧れのようなものを抱いていました。澄んだ黄色の花は清楚でどこか物悲しさを感じさせる花で、ニッコウキスゲの華やいだ感じとはかなり趣が異なりますね。日が翳り始めた頃に咲く花は哀愁を誘います。人生の後半を生きている人間にはたまらないのです。しかし、この日はそういう気分を味わう環境ではありませんでした。次回に譲ります。

エゾナミキ

2012年08月14日 | 自然観察日記
意図しない移入植物にエゾナミキがありました。国の湿地整備に関してかつてヨシ原だった場所にニッコウキスゲ・ヒオウギアヤメを植栽したのですが見慣れないものが発生したのです。直感的にナミキソウを連想してみたものの、あまりにも生育する環境が違いすぎて、???・・の日々が続きました。姿形はナミキソウなのですが全体の草質が瑞瑞しく色具合も違い、花はやや大きく丸みを持っています。

エゾナミキ 花

2012年08月14日 | 自然観察日記
ナミキソウは海岸砂地に生活しています。葉など全体が劣悪な環境に耐える仕組みを持っていますが、ここは半日陰の今は乾き気味の場所ながら湿地の一角です。そのギャップが暫らくの間私を悩ませましたね。少々時間を費やして調べる中で、北地に湿地性のナミキソウがあることが分かりました。エゾナミキと命名されている種で、どうもこれがそれに当たるようです。この湿地に植栽された苗に混ざっていたものとおもいますが、幸運と捉えるべきか問題と考えるべきか悩ましいところです。個人的には、この種はニッコウキスゲよりはずっと貴重種ですから抜いたりはしないでその生育を見守っていくことにしています。花はなかなか存在感もあって綺麗です。
長野県と青森県、北海道に分布し長野では絶滅危惧種になっているとか。ここまで分かると逆に積極的に保護しなければなりませんね。
(元新潟大教授のI氏に標本を示して意見を聞きましたが、氏もエゾナミキという鑑定で、「県内には記録されていないから経過観察や写真などデータの採取をしてほしい」という依頼を受けました)

サンカクイ

2012年08月13日 | 自然観察日記
夏の湿地めぐりもおつなものです。少しマイナーかもしれませんが、大形のカヤツリグサの草姿は季節感があって良いと思います。この季節はトンボの止まり場所で様々なトンボが入れ替わり立ち代りやってきています。
これはサンカクイの花。茎(葉)の断面が三角形をしているからですが、実はカヤツリグサのかなりの種が三角形をしていますからこの名前だと混乱する気もするのですが、この名前で収まっています。草丈は1mくらいにはなります。

アメリカアゼナ

2012年08月13日 | 自然観察日記
湿地の秋空間、水が引いた場所にはまた違った花が見られます。水田雑草としても扱われるものですがアメリカアゼナです。地温水温が上昇したごく短い時間で成長し花を咲かせることが出来るのであっという間に広がってしまいます。とはいえ、これも可愛い花です。在来のアゼナもどこかにあってよさそうですが、葉に距歯ガあるかないかで見極めます。アメリカアゼナには距歯ガあります。

ヌマトラノオ

2012年08月12日 | 自然観察日記
里山は、先月はオカトラノオの季節でした。今月に入ってヌマトラノオが花を一斉に見せています。純粋な大群落を作らず、他の種と混在するせいでもあるのでしょう、少々小振りで目立たない花かもしれませんが、いかにも里山の湿地にふさわしい花のような気がします。暑い夏場はそれなりに美しい花が観察できる季節でもあります。

ヌマトラノオ 花

2012年08月12日 | 自然観察日記
オカトラノオの花穂は先が垂れるのに対して、ヌマトラノオの花穂は直立します。色の白さはヌマトラノオのほうが澄んだ白色です(のような気がします)。休耕田などの湿地に普通に見られます。しかし、やがて乾燥化が進むと消えていく運命です。

アオピス(アマリカホドイモ) 花

2012年08月11日 | 自然観察日記
ホドイモといわれて育ててみたものですが、残念ながら在来のものではなくアメリカホドイモの花です。アオピスとかいう名でも流通しているようですね。在来のホドイモのつもりでしたから咲き出した花が見たこともないものでしたので度肝を抜かれました。うかつに信じてはいけないなぁという反省です。
ホドイモは県内でも沢沿いの藪の中で見かけます。根が肥大して食用に出来ます。山の暮らしでは大切な位置づけの植物として扱われてきた一つだそうです。

アオビス(アメリカホドイモ)の葉

2012年08月11日 | 自然観察日記
在来のホドイモは時々見るとはいえ、自生はそんなに多い気がしません。葉は在来のものと見分けがつきませんね。在来種の花は長い穂状になって一花は白っぽく小さなものです。今度見つけたら紹介しましょうか。
丘陵公園の里山フィールドミュージアムには植栽したエリアがあって、これに伴って様々な予定外のものが入ってきています。里山という場所は、人の営みの中で意識的でなくとも必然的に様々な種の移入が起こる場所です。しかし、少なくとも誤った善意で導入されることは避けていきたいと思っています。

ヒノキ 雄花

2012年08月10日 | 自然観察日記
身近なものほど見逃しているものです。山野にスギの植林と共にヒノキの植林地も多くあります。ヒノキというよりヒバといわれている場合もおおいのですが、実は県内ではヒバはヒノキでないことが間々あります。ヒバといわれて調べるとサワラであったりヒノキアスナロであったりと樹種はまちまちで統一性がありません。簡単に葉の裏の白い気孔線がY字形をしている点で見極めるのことが出来ます。
花は春先には咲くはずですが、この季節に葉の先端に雄花がびっしりです。ルーペを持ち合わせていないときでしたので細かなことは確認できないのですが、おそらく来年春に咲かせるつぼみなのでしょう。夏の時期に来年の準備をしているということに気づかされました。

ヒノキ 果実

2012年08月10日 | 自然観察日記
ヒノキの若い果実です。これはこの春結実し熟成中のものです。秋には熟して褐色になってはじけ中の種を放出することでしょう。
ヒノキは雌雄同株ですから来年の雄花が形成され始めているなら、雌花もどこかで形成されはじめている理屈ですが、そこまで確認できずです。もっと本気で探してみる必要があったなぁと反省しているところです。ヒノキは日常生活の中に深く入っているようで、その実態をほとんど知らないことに驚かされます。何事も知ったかぶりをしないで謙虚に「なぜ?」「どうして?」を自問していかないといけませんね。