森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

エチゴキジムシロ

2015年02月21日 | 自然観察日記
春植物の花の季節が過ぎてしまっていますから華やかさはなく落ち着いた感じの時期ということになるのですが、それぞれの種は自らの営みに精を出しています。ですから、どんな時でもしっかりと観察をすれば新たな発見があります。そして、また新たな感動を得ることもできます。
キジムシロがそれほど広くない岩交じりの山道に生えていました。ミツバツチグリに間違えそうなくらい三枚の葉片が目立ちますが、その下に小さな葉片がありますからミツバツチグリではなくエチゴキジムシロです。もっともこんな山奥にミツバツチグリは生育していません。越後に住んでいるといわゆるキジムシロという種に気づきません。あるのかないのか?小葉片が多く連続的に小さくなる種がキジムシロということになっています。

エチゴキジムシロの果実

2015年02月21日 | 自然観察日記
エチゴキジムシロの花は奥山の渓に沿った岩場で見る機会が多い花という印象を持っています。草原などの他の種との競争が激しい場所にも生育はするのでしょうが、どちらかというと厳しい環境に追いやられているという感じです。逆に山歩きをする人間にとってはそういう性質の花を愛おしく思い、またロケーションもいいものですから強く心に刻まれます。
キジムシロの仲間の果実はイチゴのような花床は肥大しませんから、イチゴのぷつぷつの部分(種子)だけが塊になって存在しています。

アブラツツジの葉

2015年02月20日 | 自然観察日記
裏巻機渓谷の散策路はおおむね断崖の縁を歩くようになっています。緩い斜面がないわけではありませんが、岩場にしがみつく草木の様子を見るには絶好の場所になります。そんな岩場にアブラツツジが見られました。越後では群馬県境の亜高山帯にしか確認されていない種です。葉だけ見るとドウダンツツジの仲間だということが分かりますが、ドウダンツツジの自生はありません。花はドウダンツツジに似るもやや小型で色は純白ではなくかすかに色づきます。花付も穂状にたくさん付いて垂れ下がります。秋の紅葉はドウダンツツジのように色づきは優れています。上越県境の山々は概してチシマザサが多い山域で、山歩きには少々興ざめな点がありますが、岩場に来るとさすがにササはなくアブラツツジなどの岩場の好きな植物に出会え観察ポイントになると同時に特に色づく秋は見事な景観を鑑賞するポイントになります。

アブラツツジの若い果実

2015年02月20日 | 自然観察日記
あいにく花が終わったばかりですべて散ってしまっていました。花の付き方を確認できる若い果実が穂状になって垂れ下がっていました。花は多くこのような房がいくつもぶら下がっていました。

裏巻機渓谷

2015年02月19日 | 風景
二月も半ばを過ぎ春らしい光を感じながらも越後の春はまだまだ先です。まだ、野山を歩き回る季節でもありませんから、もうしばらくは昨年の観察記録を取り上げていきたいと思います。今日からしばらくは昨年6月に裏巻機渓谷に出向いた時のものです。南魚沼市の五十沢キャンプ場から入る渓谷美の優れた場所で、「天竺の里」という名称がつけられていました。

裏巻機渓谷の案内板

2015年02月19日 | 自然観察日記
沢と滝と奇岩などの景勝が続く裏巻機渓谷はスリルに富んだ別世界なのですが、あいにくまだ前年の崩れた岩や橋などが整備不十分で足場が悪く「スリル」では済まされない場所もあり予定していた場所までは行けそうにありませんでした。そういえば、3年前にすさまじい豪雨があり、下の五十沢キャンプ場が土砂で壊滅的な被害にあってようやく再開にたどりついたばかりでした。まだ、この散策路を改修するまで手が回っていないのかもしれません。秋、このルートを歩けるなら至福の時間を与えられること請け合いです。

不治心得の岩

2015年02月19日 | 風景
散策路を歩き始めると「不治心得の岩」と名付けられた場所に来ます。岩をえぐって散策路が作られているのも驚きですが、これから先は道が荒れていて身の危険も感じましたから、無理をせず折り返しです。もう少し時間がたてば道も整備されるでしょう。お楽しみはその時にすることにしました。

ハウチワカエデの花

2015年02月18日 | 自然観察日記
まだ咲きだしたばかりのハウチワカエデがありました。展開したばかりの葉と赤い花が、決して豪華でないけれど美しく見とれてしまいます。カエデ類の花でこれほど感動を与えてくれる種もほかにはないのではないでしょうか。秋の紅葉はそれぞれ見事なものが多いですが、花に関してはハウチワカエデが群をにいています。この仲間の花穂は雄花と雌花が混成していて両性花はないとされます。

ハウチワカエデの新葉

2015年02月18日 | 自然観察日記
芽出しのときの葉も美しいもの。まるですぼめた傘を開こうとするかのような形状をしています。ハウチワカエデは赤味が強く木全体で見ると赤く色づき春もみじの主役の一つになります。

ウラジロモミの茎

2015年02月17日 | 自然観察日記
シロヤシオの林の中で気づいた針葉樹がウラジロモミでした。特に多いわけではないのですがこの森にあっては比較的高木で存在感があります。おおよそ亜高山帯下部に見られ高山帯には入らないとされます。低山にはありませんが、越後の三国山の付近で見たことがありますから中部の山地帯には生育しているようです。

ウラジロモミの葉

2015年02月17日 | 自然観察日記
葉の離面は気孔帯が白く目立ちます。葉の先端は二裂しますが浅くモミとの区別ができます。茎も毛がなくモミとの相違点になります。神社や公園などモミがあるようですが、山野で見るモミは経験的にはすべてウラジロモミでした。もっとも私が歩く範囲は上越県境から北関東信州の山域ですからモミの生育地ではないのでしょう。

コヨウラク

2015年02月16日 | 自然観察日記
関東圏の山に登るとよくコヨウラクに出会います。那須でも生育していて愛らしい花を見せてくれました。小さな花ですから注意していないと目に留まらないのかもしれませんが、長年山歩きをしているとどんな小さな花でもすぐに目についてしまいます。街中で知人とすれ違っても気づかないのに自然の中にいるといろいろなものが見えてしまいます。

コヨウラクツツジの花

2015年02月16日 | 自然観察日記
相称になっていない花もないわけではないのですが、コヨウラクの花も歪んだ形でとてもユニークです。この歪みにどういうメリットがあるのでしょうか。推理してもいい答えが浮かんできません。ときに自然は不可解な現象を見せてくれます。それはそうと、間近でコヨウラクを見ると引き込まれるものがある気がします。

オヤマボクチの昨年の果実

2015年02月15日 | 自然観察日記
ゴンドラの山頂駅はマウントジーンズのスキー場の頭にあります。シロヤシオの林に囲まれたスキー所は広い草原になっていますが、過去にはここにもたくさんのシロヤシオが自生していたはずですから相当広い面積の貴重な林が人為的に破壊されたことになります。個人的にはスキー場とゴルフ場も自然破壊の元凶と思っていますから、もうこれ以上に広げないではほしい願っています。そんな、草原にオヤマボクチの株がありました。雪は降ったのでしょうが昨年の花柄が折れずそのままの姿で立っていました。雪質が軽くなお量が多くないということなのでしょうね。越後の山野ではあまり考えられないことです。