森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ラショウモンカズラの分布について

2015年05月25日 | 自然観察日記
資料によれば、ラショウモンカズラは本州から九州まで日本に広く分布し大陸まであるそうです。どこにでもありそうな話になるのですが、こと新潟県の分布はとても奇妙なのです。自生している場所は弥彦山塊、阿賀野川沿い、そして後は県境の脊梁山脈に沿って深山に点々と生育しているという構図になっています。比較的里地に近い場所には見られず、県北から県南までの県境のほぼ全域、これに沿って深山の渓谷での採集記録があります。佐渡にもわずかな記録があるのですが、納得のいく説明がつかない現象ですね。

弥彦山 田ノ浦コース

2015年05月24日 | 自然観察日記
越後平野にどっかりと腰を据えている弧峰弥彦山塊。有名な神社もあることもありすごく身近で馴染んでいる感じなのですが、実は植物の分布という観点で見るととても面白い山域なのです。それはよく知ってはいてもほとんど調べていない自分がいます。魚沼地域が私の持ち場という勝手な意識が働いていたせいでもありますが、植物の分布などということを口にするには踏み込んでいない空白域は大変不味い話になります。この年で不可能なことは分かっているものの可能な範囲で自分の目で見てみたいと思い弥彦山の海側の田ノ浦コースを歩いてみました。予想通り面白いものにいくつもそうウ遇して一人で興奮していました。しばらくはこの時の植物を取り上げてみたいと思います。
このコースは、弥彦山の登山道の中ではもっとも険しいとされています。途中に岩場があって鎖が設置してありました。しかし、魚沼の山々に比べればずっとやさしい山でそれほど身構えるものではありません。山頂に近づくにつれ感じのよい雑木林が広がっていました。

道祖神

2015年05月24日 | 自然観察日記
田ノ浦から林道が続いて2Kmほどのところが駐車場になっていて、ここから歩き始めます。まもなく道祖神が置かれている場所に来ます。この山が信仰の山であった証のように思えました。

サクラバハンノキの林

2015年05月23日 | 自然観察日記
未開園のエリアにサクラバハンノキという珍しい樹があると聞いてはいたのですが、今回これをみることができました。いままで、ポツンと生えていた樹を観察した経験はあるのですが、林になっているのに驚きです。高さ15m~20m、径が30cm前後の樹がおよそ30本くらいがほぼ純林になっています。この樹の性質やら分布に付いては詳しくは分かりませんが、分布に関しては県内では数ヶ所採集の記録がありました。これだけの規模の林はかなり貴重な存在ではないかと考えています。

サクラバハンノキの葉と幹

2015年05月23日 | 自然観察日記
葉はサクラの葉に似ているといえば似ているようですが、ハンノキの仲間であることは確かです。むしろ、特徴的なのが幹です。ハンノキの樹肌は裂け目が多く細かく割れていてざらざらしたものですが、サクラバハンノキの肌は滑らかです。この違いはかなり歴然としたもので判別には有効ですね。

サクラバハンノキの花

2015年05月23日 | 自然観察日記
雄花が散ったものがありましたから、一応証拠に写真を撮っておきました。雌花はおそらく樹上で成熟しているのでしょうが、高すぎて確認できません。昨年の果実が落ちたものを拾って、一応雌雄の「花」としてみました。

チマキザサの群落

2015年05月22日 | 自然観察日記
丘陵公園にはまだ未開園のエリアがあります。先日、このエリアに踏み込む機会があっていくつかの新しいものを見つけて今後の利用などを考えていと思っているところです。ところで、そのときにチマキザサの開花した大きな群落に出会いました。1haくらいあったでしょうか、一面に花がついている個体がびっしりと並んでいます。こういう光景もなかなか見られないもので少々興奮気味でした。かつては農地だったのでしょうか、平坦な場所でまるで栽培をしているかのようです。

チマキザサの花

2015年05月22日 | 自然観察日記
ところで、ササタケ類は一本一本が個体というわけではなく地下茎でつながっているという性質を持っています。つまり、一定の範囲に生じる群落は同一個体で遺伝子は同じ。したがって、一本が花をつけるということはすべてが花をつけるということになります。タケササ類は花をつけ実を結ぶとその個体は枯れてしまうという話をよく聞きます。20代のころ飯豊山塊のオオインノ逆峰を登っていた時に、チシマザサと思っていますが、広い面積が赤茶色になっていて枯死していた光景を目撃したことがあります。これが、その現象なのかと考えてはいるもののその後そういう光景には出会ていません。花を咲いているササ類は何度か見ていますが、広い面積が枯死している場面はないのです。この場所が今後どうなるのか興味津々。忘れずに、またここにきて確認する必要がありますね。

トネリコの花

2015年05月21日 | 自然観察日記
トネリコの仲間はいろいろな名前があってやや混乱気味。近縁種もいろいろあり難しいですね。特に高木で花や葉が簡単に手に取れ観察できない場面がおおいのでなおさらです。ふつうタモとかタモノキというのがこの種で、はさ木に利用されていましたから田の縁に列になって植栽されてる景観がところどころにあります。雌雄異株。この個体は雄株で咲き始めたばかりの雄花です。

マルバアオダモ

2015年05月21日 | 自然観察日記
丘陵公園には自生種としてマルバアオダモがみられます。色とりどりの新緑の季節が落ち着きは決めたころに、林の所々で白い花の塊が見られるのですがこの正体が大体マルバアオダモです。トネリコの仲間ですがこの系統には花弁があって、また花の色がはっきりとしていますからよく目立ちます。

マルバアオダモの葉

2015年05月21日 | 自然観察日記
マルバという割には葉が丸く感じないので違和感を持たれる方もいるのですが、アオダモ(別名コバノトネリコ)に比べ葉が丸みを帯びるということらしいのですが、これもストンと納得できるようではありませんね。