森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ウワミズザクラ

2015年05月20日 | 自然観察日記
里山にごく普通の樹で、全国的にもブナ帯の下部からシイ・カシ帯に生育するといわれています。5月の頭、ブラシ状の白い花をおびただしく着けるのですが、なぜか目立ちません。新緑の色と花の色がかぶってしまい意識しないと見えない存在になっています。ある意味かわいそうですね。赤とか黄色とかもう少し花の色を工夫すれば愛でてくれる人も多いのですが・・・、人間の都合て話をしても始まりませんが・・・。

ウワミズザクラの花

2015年05月20日 | 自然観察日記
雰囲気はかなり異なるのですが、オオヤマザクラやカスミザクラなどと一緒のサクラ属に分類されています。個人的には、正直言って花だけ見ていては同じ仲間には見えないのですが・・。若いつぼみを塩漬けにして食べる習慣が新潟には伝わっていますが、生のまま食べても結構酒の肴になるのだという御仁もおられます。

オオイワカガミ群落①

2015年05月19日 | 自然観察日記
長岡では見慣れているものの中に全国的に誇れるものがいくつもあります。オオイワカガミもそのうちの一つではないでしょうか。丘陵公園の雑木林を散策すれば至る所に群落を作っていて春の花の季節はうっとりするほどのあでやかな色彩で林床を覆い尽くしています。イワカガミの日本海側の変種とされています。葉の大きさと光沢、花数の多さはこの種の大きな魅力で20を超す花を持つ個体もときどきあります。見事というほかありません。

オオイワカガミの群落②

2015年05月19日 | 自然観察日記
花の色は純白のものから濃い桃色のものまでほぼ連続しています。雑木林の水はけのいい斜面に群落を作っていて、すぐ上を覆う低木があまりない場所を好むようですが、これを意図して林内を整備してみるとなかなか花をつけてくれません。褐斑病という厄介な病気に侵されるものも多くて、手を加えると逆に衰退するという感じさえします。技術が至らないのですが、この種を機嫌よく生育させるには大変難しいと感じています。何もしないで放置しておくのが最も良いとは・・・。来園者にこの花の素晴らしさを身近なところで展示したいと思いつつ試行錯誤をしています。

オオイワカガミの花

2015年05月19日 | 自然観察日記
イワカガミは亜高山の岩場などで見られるとされ、イワカガミの仲間は概して高山種です。唯一オオイワカガミが日本海側の里山にも生育するという構図です。ふと思ったことに、クルマユリは一般的には高山植物にされていますが、この種も日本海側の低山にも普通の自生していますが、日本海和賀の環境と植物の分布ということに関して何かしらの法則めいたものがあるのかもしれません。

盛りを過ぎたミズバショウ園

2015年05月18日 | 自然観察日記
小山田の桜樹林を後にして、近くのミズバショウの公園に立ち寄りました。まだ白い苞が見られるミズバショウですが、葉が生い茂りまるで野菜畑の風情でハンノキの林の林床に広がっています。こういう光景はあまり目にしないものでそういう意味で新鮮です。

地際で咲くカスミザクラ

2015年05月18日 | 自然観察日記
その一角、山際に差し掛かると地面に桜の花が・・。散っているのかと思いきや地面から枝を出して花を咲かせているのです。ミズバショウが生い茂る湿地ですが、ここは少し盛り上がっていてミズバショウの葉がかぶさってこない位置です。僅か10cmにも満たない小枝が地面に出ていてその先端に2輪のサクラの花が咲いているのです。実に面白い光景ですね。一同大いに感心しました。

カスミザクラの根の不思議

2015年05月18日 | 自然観察日記
サクラの花を調べるとカスミザクラであると分かります。この花の4~5m奥の斜面に大きなカスミザクラの樹があって、この大木の枝の広がりのほぼ真下に花が咲いているという構図です。枝の広がりと根の広がりはほぼ同じと考えられていますから、張り巡らせた根が地上に頭を出して、枝の機能をよみがえらせて花芽を形成したものと推理しました。サクラの根は、たとえば崖などに生えていて土が崩れむきだしになるとそこから枝を出して花を咲かせるという性質がまれに見られます。この現象の一つの形ではないでしょうか。

クサイチゴ

2015年05月17日 | 自然観察日記
日当たりの良い散策道わきにクサイチゴが一輪咲いていました。結構な藪になって花をいくつも見せるのが多いのですが、下草刈りが徹底しているのかここではぽつんと咲いていました。逆に少ないのが功を奏して、みんなの注目を集めます。比較的大きめの純白の花、上を向いて自己主張もあって一時ヒロインの扱い。園路にはシラネアオイがたくさん植栽されていましたが、少々食傷気味。むしろ、一輪のクサイチゴの方が美しさを感じます。
モミジイチゴは下向き、クサイチゴは上向きに咲きます。果実の味はモミジイチゴに劣ると思います。

フデリンドウ

2015年05月17日 | 自然観察日記
二年生の小さな花。でも、小さい割にはよく目立ちまた見つけるととても嬉しく幸せな気分にさせてくれる花ですね。木漏れ日のある園路脇に見られます。あまり深くなる藪の中では生育できないのでしょう。根生葉があるかないかでハルリンドウと区別します。フデリンドウは根生葉はありません。

センボンヤリ

2015年05月16日 | 自然観察日記
センボンヤリの春型がありました。変わった花で秋型とまるで姿が違うという代物。同じ種であるとはにわかに信じがたいものですね。「槍」という名は春型の個体には当てはまりません。秋の個体を見るとなるほど「槍」だと納得します。春型の花は開放花、秋型の花は閉鎖花です。かわいい春型の個体を持ち帰って庭に植えると秋の豹変ぶりに驚かれるでしょうね。不思議な習性をした植物です。

ツルカノコソウ

2015年05月16日 | 自然観察日記
オミナエシの仲間ですが、まだ花もありませんから特に注目しないで解説はしませんでした。春に開花するの植物ではあるのですがかなり先になりそうです。つるを伸ばして広がるという性質があります。個体はかなりあったのに驚きです。
帰って分布を調べて認識不足を反省しているのですが、極めて特異的な種であることがわかりました。弥彦山塊や五泉地域にほぼ限定的に生育している種なのですね。新発田や村上など県の北部にはわずかに点在しているようですが、県の中部から南には採集の記録がありません。

ナガハシスミレの群落

2015年05月15日 | 自然観察日記
見慣れたナガハシスミレなのですが、ここまでかたまって生えている場所はなかなかお目にかかれないので載せてみました。小山田の桜樹林の展望休憩場所地近くになかなか素敵な景観を作っていました。20cm程度の塊は普通にあるのですが2m~3m弱の塊は記憶にないですね。好条件が重なってここまでの群落になったのでしょう。この日訪れた人は幸運でした。

ナガハシスミレの花

2015年05月15日 | 自然観察日記
長い嘴という意味でナガハシスミレ、別名テングスミレ。距がとても長いスミレとして有名ですが、タチツボスミレの系統になります。長い距の曲がり具合は一様ではないらしくいろいろなものがあるのだそうです。真っ直ぐだったり反り返ったり・・・。ここの個体群は素直な距をしていたようです。

セントウソウ

2015年05月14日 | 自然観察日記
シャクを小さくしたような種で山道の途中にあって、シャクが山の麓にあることから一見シャクの栄養不良の個体かと思われたくらいです。しかし、よくよく見れば全くの別種でセントウソウという軟弱なせり科植物。花茎を立てるでもなく葉や花はほとんど根性に近い状態。花の季節で白いかわいい花があるため認識され良いのですが、花が無くなればほとんど目に留まらない種ですね。