久しぶりに人を案内して五泉の小山田地区に行きました。エドヒガンのいいところは終わってはいましたが、遅い花も見られて楽しい一時になりました。車から降りて最初に出迎えてくれたのがシャクの群生。シャクは大きな群生になって自生しているのですが不思議と長岡地域にはみあたりません。川口にもあり、出雲崎にもありここ五泉にもあるのですが・・・。資料をもとに分布を調べてみると、感じていたことと符合していることがわかりました。里山に普通に生育している種という感覚でしたが、分布に偏りが際立つ種であることがわかりました。
せり科の花は散形花序。他の種もそうですが縁に並ぶ花は花弁の大きさが不揃いで、中央部の花は花弁が同じ大きさになっていることが多いのです。シャクも外側の花の花弁は二つが大きいのが分かります。縁ということもあり伸びる空間があり、また装飾花という意味合いがあるのでしょう。
山菜のコゴミ(クサソテツ)やゼンマイ、ワラビは知っておられる方が多いのですがそれ以外のシダとなると私を含めて急に不案内になってしまいます。「森の案内人」を自称している以上「分かりません」ではすまされない場面もありそうなので地道に独学を積んでいます。若いころと違ってストレートに入ってこないのが難ですが、「そのうち分かるだろう!」と焦らず取り組んでいます。
サカゲイノデは里山の杉林にはごく普通にみられるやや大型のシダですが春の展葉の姿が面白くて、少し興味を示される方に話をすることがあります。今年は昨年下草狩りを行った林床に、昔手塚修が火の鳥の中でメタモルファーゼという名で描いていたものと印象がよく似た状態で点在していてなかなか面白い景観です。しかし、どなたもこのシダの魅力的な姿について口にされないことが少々寂しいですね。
サカゲイノデは里山の杉林にはごく普通にみられるやや大型のシダですが春の展葉の姿が面白くて、少し興味を示される方に話をすることがあります。今年は昨年下草狩りを行った林床に、昔手塚修が火の鳥の中でメタモルファーゼという名で描いていたものと印象がよく似た状態で点在していてなかなか面白い景観です。しかし、どなたもこのシダの魅力的な姿について口にされないことが少々寂しいですね。
シシガシラも里山にはごくありふれたシダです。しかし、新葉を展開させるごく短い期間に魅力的な色彩で演出します。花の造詣の不思議さばかりではなく葉の変化の中にもさまざまな魅力ある世界があることを気づくとさらに自然観察が楽しく奥深いものになっていきますね。
少し前の話。丘陵公園のカタクリはかなり認知されてきています。園内には1000万は下らないであろう個体が生育しているのですが、100万株の群生する斜面が特別に取り上げられているのが個人的には少々不満があるところ。最近は大群落の景観ばかりでなく花の色の変わり者を求めておいでになるかたも多くて、特に白いカタクリはないかという問い合わせがあるのです。10万株に1個体ともいわれるのですが、それほど多くはないにしても個人的には歩いている範囲では30個体くらいは見ています。毎年発生する個体もありますが、あったはずが消失してしまっているのもあり増加しているわけではありません。保護をしたいのは山々ではあっても掘り上げるなどというのは至難の業でそのままそっとしておくのが現状です。公に知らしめると盗掘ということもありますから安易にできません。展示したい気持ちとの板挟みです。
ネコノメソウはまとまって生育すると黄緑色の美しい花群落になります。湿地環境でときどき大きな群落を目にするのですが、これをコンスタントに毎年維持するのが実に難しい。消失することはないのですが、結構気まぐれであちこちに飛び火して思いもかけないところに群落を作ります。多年草ではありながら毎年同じところに同じような生育をしないというのが面白い習性だと感じています。おそらく他の種の影響があるのではないかと考えていますが、あるいは自らの種を維持するのに同じところにとどまらない方が有利なのかもしれません。
赤花といえば確かに赤いので一応アカバナ・・にしておきますが、遅くまで残っていた残雪に押されたマルバマンサクがようやく解放されて花をつけていました。黄色の花の普通種も同じ場所に合って赤と黄色の対比が面白い。丘陵公園内ではところどころこのような花が見られます。ごく身近にありながら見過ごされていた個体でしすが、これからはいろいろな場面でガイドなど利用されそうな予感がします。
この季節私のいる里山はトキワイカリソウが花盛りで、カタクリほど人気はないものの十分楽しめる花だと考えています。同じ色の様でわずかな違いのあるイカリソウが園の一角にありました。キバナイカリソウという種でこの種を持ち込んだ人はなかなかの人ではないかと推察しています。魚沼の奥で見かけた記憶がありますが、他ではまだありません。近畿以北の日本海側に生育するとされていますが、決して多い種ではなさそうです。しかし、黄色い花といえどトキワイカリソウと同じように見えてしまいそうな花の色ですから結構見逃しているのかもしれませんが・・。何よりの違いは、越冬する葉がないことですから怪しいと思ったらその根元を確かめる必要があります。普通、花の季節は様々な落ち葉が積み重なっていますから、これを取り除いて正体を見極めるという作業はかなり面倒ですね。花だけを見て両種の違いを見極める眼力がほしいところですね。
花の色はわずかに黄色味を帯びますからキバナイカリソウとなったのでしょう。県内のトキワイカリソウの白花系統(赤紫系統の花の色もあります)の花と見比べると歴然とした差がありますが単独では難しいかもしれません。
以前は里山やその周辺の草地には普通に見られたというオキナグサです。園内の明るい林床にそれとなく花を咲かせていました。植栽されたものと思いますが、本来の自生もこんな環境であったのかと想像しています。花の色と言い葉の様子などこの季節にしては決して目立つ存在ではなく、環境に溶け込んでいるといった風情です。乱獲というのもあるのでしょうが、里山の利用の仕方が大きく変わって消滅していった植物のような気がしています。
セキショウがありました。多くはないのですが園の入り口近くに花を見せています。この種も残念ながら県内での自生を見た記憶がりません。すべて、寺社や家庭の庭などで見かけたものです。一応、雪国植物園では新潟県内の里山(500m以下の)の自生植物以外は入れないと豪語していますから、どこかに自生があるのでしょうね。私が持つ資料には参考になるものがなく白紙の状態です。
花の盛りでサトイモカの植物ですからミズバショウと同じ花が観察されます。ただし、苞葉はありませんが。
花の盛りでサトイモカの植物ですからミズバショウと同じ花が観察されます。ただし、苞葉はありませんが。
雪国植物園に入った時の話。何度か足を運んでい待て、それなりに理解しているといっても少し時間が経るとかなり雰囲気が異なった状態になっています。理想的な里山を目指してボランティアの力を借りながら思い切った整備が進んでいます。いろいろと批判される方もおられるのですが、杉林の放置林よりは伐採して雑木林に誘導するのは「里山」を掲げる以上当然の方向だと個人的には考えています。
そんなことを意識しながら園内を散策するのですが、最近訪れた際に目に留まったものを載せます。
湿地はまだあまり動きがありませんが、コウホネを植栽した池には水面に新しい葉が見え始めていました。よく見ると水面下にも葉があって結構大きく育っています。水草の二形葉が見られるのですが、写真が分かりにくいようですね。
そんなことを意識しながら園内を散策するのですが、最近訪れた際に目に留まったものを載せます。
湿地はまだあまり動きがありませんが、コウホネを植栽した池には水面に新しい葉が見え始めていました。よく見ると水面下にも葉があって結構大きく育っています。水草の二形葉が見られるのですが、写真が分かりにくいようですね。