花は半開きでやや上の方を向いて咲きます。個体の栄養状態で花の数が異なりますが、5~6個の花の個体が多いようです。ラン科植物はラン菌との共生が前提ですからあまり移植してもうまく活着しないといわれます。園内の自生個体は基本的には動かさず発生した場所で被圧植物などを取り除く管理をしています。種子の形成がうまくいけばまたどこかで新しい個体が発生すると考えています。
田畑の周辺に見られる匍匐性の草本。ときどき一面に群生していることがあります。湿り気の強い場所を好みますから乾燥気味の場所には生じません。花は1~2cm弱ほどありますから群生すると素晴らしい景観を作ります。
日本海側のヤブデマリには毛が少ないので「毛無し」とつけられますが毛はあります。葉が広めですからヒロハヤブデマリという言い方もあるようです。ヤブデマリはオオイワカガミが終わりかけたころの5月中下旬は里山フィールドミュージアムの主役になる花でタニウツギと共演し見事な景観を作ります。この花の美しさには「藪」という響きは似合いません。できれば改名してほしいものと思っています。
ヤブデマリは集合花で周辺が装飾花、中央が両性花の集合です。一見アジサイと混同される方も時折見受けられますが全くの別物。この木は湿り気のある場所を好みますから棚田周辺や山際に列を作るように生育しています。この木が大量に里山にはありますから、やや大型の円を描く純白の装飾花が帯状に里山を彩りますからとても美しい景観になるのです。
オオナルコユリは1mを超すほどの大きな草本です。この姿は先月のものですからやや小ぶり。以前はあまり見られなかったオオナルコユリですが、園内の半日陰の湿地環境に最近多くみられるようになっています。棚田跡のスギ林などの水は帯水していない湿り気の強い場所を好んで生育しています。
花は各葉腋に2~3個付きそれが20枚くらいの葉の腋につきますから鈴なりの花数。園内にあるミヤマナルコユリの3倍近い花数になるのではないでしょうか。花も大きくやや口が絞られた花瓶のような形。白い色が基調ですがかなり緑がかっています。ある人によると隠れた山菜で味はかなり上位にランクされるとのこと。しかし、全体に個体数が少ない種ですからもっともっと増やすことを意識したほうが良いでしょう。
開花直前の花。湿った環境にあって、ちょうどホタルがさなぎになって周辺にいるはずですからつぶさないためにむやみに踏み込むことは避けています。したがって遠くからの望遠撮影。やや不鮮明にならざるを得ません。
ありふれたものでも意外に見落としているものが多くあります。クワもその一つ。里山フィールドミュージアム内には実に多くのクワの木が生育していて、また新たに芽生えてきて除去するのに一苦労ということもしばしば。桑の実をほうばって口元を紫にした経験を持っている方も多いと思います。さらに衣服を汚して親から叱られたなどという話も耳にします。馴染み深い桑の実ですが、意外に知らないのがクワは雌雄異株であること。
園内に桑畑跡という場所があり、かつてこのあたりでもカイコの飼育を行い繭の生産を行っていたことが伺われますが、その畑には雌株がほとんどありません。聞くところによるとカイコには雄株の葉を与えるというのがあって雌株は植えていないそうなのです。なぜかということを確認していないのですが、積極的な意味があるのでしょうね。ところで、山古志は鯉の産地ですがそれを支えたのがカイコの飼育なのだそうです。繭から糸を取った後のカイコガのさなぎが鯉のエサになっていてうまい循環ができていたそうです。多くの農村部ではカイコの飼育は現金収入の手段でかなり盛んにされていたようです。それを支えていたのは豊富なクワの木の自生があったのかもしれません。
園内に桑畑跡という場所があり、かつてこのあたりでもカイコの飼育を行い繭の生産を行っていたことが伺われますが、その畑には雌株がほとんどありません。聞くところによるとカイコには雄株の葉を与えるというのがあって雌株は植えていないそうなのです。なぜかということを確認していないのですが、積極的な意味があるのでしょうね。ところで、山古志は鯉の産地ですがそれを支えたのがカイコの飼育なのだそうです。繭から糸を取った後のカイコガのさなぎが鯉のエサになっていてうまい循環ができていたそうです。多くの農村部ではカイコの飼育は現金収入の手段でかなり盛んにされていたようです。それを支えていたのは豊富なクワの木の自生があったのかもしれません。
雄花は開花後まもなく落ちますから、雌株が果実を熟させている頃は葉だけの状態になっています。ところで、カイコに食べさせるクワはマグワという大陸由来のクワを与えるのが本道のようです。しかし、糸の品質をとやかく言わないのならヤマグワでもおいしそうに食べてくれます。マグワとヤマグワは果実にめしべの跡が残るか残らないくらいの差異で葉だけの個体では簡単に判別できないようです。
赤い実はまだ熟していない果実。黒くなると甘くおいしい実になります。この味を知らない子が多くなっているのがとても残念です。ところでこの果実の毛(花柱)がないのがマグワと言われる大陸由来の種なのだそうです。