里山フィールドミュージアムの交流館前の芝生に発生する雑草に比較的珍しいノニガナがあります。芝刈りをしても根部が残るため消えることなく毎年発生しては刈られるということを繰り返しています。それでも、個体によっては開花結実まで行くのでしょう、種子を散布して生き続けるので消滅するような気配はありません。とはいってもこの種は芝生の上には見られるのですが周辺の道路わきやのり面などではあまり見られません。黄色い花でこの季節大量に開花してくるハナニガナなどに埋もれているのかもしれませんが、限られた場所に見られる種です。
二日前ウリハダカエデを載せましたが、雪国のカエデをもう一種。ヤマモミジです。里山フィールドミュージアムではごく普通に見られる種です。もっと広く言うと北海道から島根当たりの日本海側に分布するそうですが、新潟あたりはその中心なのではと思っています。これが、三国山脈を越して関東地方に行くとほぼ見られないそうで、オオモミジにとって代わります。逆にオオモミジは新潟では見られない種として知られています。
秋の紅葉は沢山ある割にはしっかりと赤く色づかないのでイロハモミジのようなあでやかさはありません。黄色系に色づくものが多いので里山の秋は少々物足りません。
秋の紅葉は沢山ある割にはしっかりと赤く色づかないのでイロハモミジのようなあでやかさはありません。黄色系に色づくものが多いので里山の秋は少々物足りません。
ヤマモミジの花は雌雄同株で雄花と雌花が一つの花序に混在しています。この絵で開花しているのは雌花。雄花はまだ開花していないようです。小さな花ではありますが、花軸などの色づきもあって結構目につく花です。花の季節は紅葉の頃よりあでやかかもしれません。
丘陵公園の里山フィールドミュージアムエリアで初めて開花株が確認できた画期的な証拠写真です。公園や庭でごく普通に植栽されているレンゲツツジですからある意味珍しくもない取るに足らないものかもしれませんが、開設当時調査した記録にレンゲツツジが載っていますが、長い間探し続けて先日ようやく小さな個体を確認したばかりでした。今度はしっかりと開花した個体を確認できたのです。極普通な種と言えどこのエリアでは極めて珍しい種なのです。
県内のレンゲツツジの採集記録は糸魚川辺りは皆無でところどころ空白地域があり、自生個体は少ないように思えます。他県の高原では大量に生育している姿を時に見かけますが、それに比べかなり生育状況は異なります。もっとも、湯の丸荒原などの群生地は放牧と関係があって毒草のレンゲツツジを牛馬が食べないため残されたもので人為的な群落と言えます。
ツツジの花はどれもよく似いて、特にヤマツツジとの区別が遠目ではしにくいもの。葉で確認すると両者の違いは歴然としています。レンゲツツジの種子は小さいですが、刈り払いなど光条件など変化すると埋土種子が目覚め発芽するのではないでしょうか。この開花株はコナラの高木林を削って道路を作った場所の脇に確認されたもので、その周辺にはいくら探しても親株に相当する個体が見つかりません。埋土種子発芽し数年間成長し開花株になったと推定しています。
里山フィールドミュージアムで見られるカエデの仲間。カエデ科というのがムクロジ科になってしまってなんとなく寂しい気持ちを持っているのですが、ここには5種ほどのカエデの仲間が見られます。ウリハダカエデはその中でも多い方の種です。大木にはならずせいぜい亜高木レベル。幹の径が10cm以上になっても緑色の樹肌をしていますから「瓜肌」なのでしょう。
カエデの仲間の花は雌雄異株だったり同株だったり、1つの花穂に雄花雌花が混在していたりで複雑怪奇。というより雌雄異株になり切っていない進化途中のグループなのでしょうか。これは雄花。この個体は見た範囲ではすべて雄花ばかりでしたから雄株と言っていいでしょう。めしべがありません。
かなり古い帰化植物とされ、民家の近くの山野に自生しています。竹やぶやスギ林などに多く見られ薪炭林としての雑木林でみることはまずありません。日本に自生しているものはすべて3倍体で種子を作れないため栄養繁殖で増えていると考えられ、本来の日本の植生の中では生育していないのではないでしょうか。ミョウガと同じく人の生活の跡を記録している植物という面があり、シャガやミョウガが奥深い山中で見つかればそこに集落があったと考えています。丘陵公園でもシャガが自生している場所はスギ林の中で幾分湿り気のある日陰の環境が最も生育状態が良いように見えます。
アヤメ科の種で日本に生育する種は3倍体の種子を作らないものとされますが、原産地中国では2倍体のものも自生しているのだそうです。同じような帰化植物でヤブカンゾウも3倍体の種で種子を作りません。
ヒメシャガという近縁の種が東山のやや奥の方に見られます。小さな青い花を咲かせる種です。
ヒメシャガという近縁の種が東山のやや奥の方に見られます。小さな青い花を咲かせる種です。
地味な花だと思うのですが、以外に人気がある花でときどきどこに咲いているか?などと問い合わせが入ります。先日ご案内したところとても感謝されました。小川など水気の多い場所などの縁を探せばだいたい見つかる種です。生態を理解していれば容易に探せます。草花のなまえを覚えるついでに湿った場所が好きなどという生態を付け加えておくと知識が深まります。
チャルメルソウの名前の由来は中国のラッパ状楽器チャルメラによるのだそうですが、響きが独特で印象に残ります。さらに、これが花というとまたさらに驚かれることがあります。花弁は細い櫛状で普通の花の花弁のイメージとはかなり違います。