原題:『Billy Lynn's Long Halftime Walk』
監督:アン・リー
脚本:ジャン=クリストフ・カステッリ
撮影:ジョン・トール
出演:ジョー・アルウィン/クリステン・スチュワート/クリス・タッカー/ギャレット・ヘドランド
2016年/イギリス・アメリカ・中国
「アンチ・ヒーロー」の作品について
19歳の青年のビリー・リンはイラク戦争時に敵の銃弾が飛び交う中、果敢に上官の救出に身を挺した映像がテレビで流れたことから有名になり、一時帰国の際に、所属する部隊の隊員たちと凱旋ツアーに駆り出されるのであるが、リンは戦場で自身が犯したことなどでトラウマを抱えており、英雄扱いされることに強い抵抗を感じている。
本作は予算さえ回収できない程に興行的に大失敗し、日本では劇場公開さえされなかったのであるが、本作の興行的失敗は他の作品とは違う意味を帯びると思う。つまり「英雄になることを拒んだ主人公」の作品を見て面白いと思う観客がいない以上、いくら作品の質が高くとも、あるいは主人公がどれほど誠実であったとしても、それが必ずしもお金には結びつかないという厳しい現実が突きつけられているのである。