MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『N号棟』

2022-07-09 00:58:36 | goo映画レビュー

原題:『N号棟』
監督:後藤庸介
脚本:後藤庸介
撮影:鈴木靖之
出演:萩原みのり/山谷花純/倉悠貴/岡部たかし/諏訪太朗/赤間麻里子/筒井真理子
2022年/日本

ホラー作品がカルト化する必要条件について

 『女子高生に殺されたい』(城定秀夫監督 2022年)ではオートアサシノフィリア(自己暗殺性愛)がモチーフになっていたのだが、余命幾ばくも無い母親を抱えていることも影響しているのか、本作の主人公で大学生の新田史織はタナトフォビア(死恐怖症)を患っており、元カレの啓太と彼の恋人の真帆と共に、卒業制作のホラー映画のロケハンとして廃墟の団地を訪れる。最初は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(ダニエル・マイリック/エドゥアルド・サンチェス共同監督 1999年)のような雰囲気だったが、途中からこれは『ミッドサマー』(アリ・アスター監督 2019年)なのだと思った。つまり団地を支配する浅野加奈子が亡くなった交際相手を「神」として扱うことで永遠の生命を手に入れ、それを確固たる事実にするために崇拝者を増やすことでカルト宗教化したのである。史織に自分と同じ素質を見いだした加奈子は団地から飛び降りて自殺する者たちを見せながら最終的には史織に人を殺させたりするものの、全員が生き返ることで死の恐怖を取り除き、ラストのショットは赤い服を用いることで加奈子の後を史織が受け継いだという結末にしているように思う。
 ところが本作の問題は死者が生き返ることができる理由を明確に提示できないためなのか、作品後半の描写が曖昧になって(あるいは夢オチ?)何が起こっているのか観客にはよく分からないところで、物語の根幹に説得力がないのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-133016


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