原題:『ホリック xxxHOLiC』
監督:蜷川実花
脚本:吉田恵里香
撮影:相馬大輔
出演:神木隆之介/柴咲コウ/松村北斗/玉城ティナ/趣里/DAOKO/モトーラ世里奈/西野七瀬/磯村勇斗/吉岡里帆
2022年/日本
何も起こらないという「幸福」について
キネマ旬報においてコテンパンに酷評されており、どれほど酷いのか確かめるために敢えて観に行ってみたのだが、文化庁の助成金の二千万円の返金を要求するほど酷くはないと思う。
例えば、主人公の四月一日君尋が壱原侑子に朝食を作り、夜には百目鬼の寺で行なわれる祭事に参加し、帰りがけに百目鬼から誕生日祝いとして「イチゴチョコ」を貰うというルーティンの繰り返しは、蜷川実花監督の「ベタ」な演出だからこそ面白みが出るのだと思う。
だから問題なのは四月一日が人生において何も起こらないという「幸福」は友人の九軒ひまわりや百目鬼静の犠牲の上に成り立っていたという事実を受け止め、改めて現実に対峙する際に、同時に監督の演出が弾けることなく「ベタ」のままで驚きがなかったことにあるのだと思うのである。
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