原題:『1917』
監督:サム・メンデス
脚本:サム・メンデス/クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
撮影:ロジャー・ディーキンス
出演:ジョージ・マッケイ/ディーン=チャールズ・チャップマン/マーク・ストロング/コリン・ファース
2019年/アメリカ・イギリス
「全編ワンカット」で撮る意義について
とても良く出来ているし、アカデミー賞で撮影賞を受賞したことも十分納得できる上で感想を書いてみるのだが、正確を期するならば、例えば『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督 2014年)ほど精密に、謳われているような「全編ワンカット」ではない。例えば、爆弾の発光で画面が白くなった後に、主人公のウィリアム・スコフィールドが瓦礫の中から友人のトム・ブレイクに引き出されるシーンなどはカットが変わったと分かったとしても、繋がりとしてはおかしくないからいいのだが、トムを亡くした後に、トラックに乗せられたものの橋が崩壊していたために一人で川向いに渡った直後にドイツ軍の銃撃を受けて応戦した結果、ウィリアムは階段から転げ落ちて気を失ってしまい、ウィリアムが目覚めた時には辺りはすっかり暗くなっており、だいぶ時間が経っているのである。
てっきり上映時間と同じ約2時間に起こる出来事と観ていた者としては、ここで映像に対する緊迫感を失ってしまい、その後、身を潜めていたフランス人の女性とのエピソードも中だるみの感が拭えないのである。