原題:『The Aeronauts』
監督:トム・ハーパー
脚本:ジャック・ソーン
撮影:ジョージ・スティール
出演:フェリシティ・ジョーンズ/エディ・レッドメイン/フィービー・フォックス
2019年/アメリカ・イギリス
歴史的事実の描かれ方について
1862年に気象学者のジェームズ・グレーシャー博士(James Glaisher)が ロンドンで実際に行った気球飛行の顛末が描かれているのであるが、残念ながら本作でジェームズの相棒とされる奇術師でパイロットのアメリア・レンは実在しない。ジェームズと一緒に搭乗したのは気球操縦者であるヘンリー・トレーシー・コックスウェル(Henry Tracey Coxwell)で、これは「一般論」として描かれる『1917 命をかけた伝令』(サム・メンデス監督 2019年)とは大きく違う。
だからと言って本作が駄作ということではなく、アメリア・レンを演じたフェリシティ・ジョーンズはとても魅力的で、確かに「野郎が2人」よりも男女のカップルの方が華やいで見えるのだが、史実として誤解されてしまう可能性は否定できず、ここに歴史的事実とエンターテインメントが齟齬きたしてしまう難しさがある。