原題:『ちひろさん』
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉/澤井香織
撮影:岩永洋
出演:有村架純/豊島花/島田鉄太/風吹ジュン/平田満/鈴木慶一/長澤樹/根岸季衣/若葉竜也/佐久間由衣/リリー・フランキー
2023年/日本
孤独のあり方について
厳格な家族の下で息苦しさを感じているオカジ(瀬尾久仁子)にしても、母子家庭で放任されている男子小学生の佐竹まことも主人公のちひろ(古澤綾)に惹かれてしまうのは、風俗嬢として働いていた経験値がものを言う部分もあっただろうが、しがらみに囚われない自由さ、あるいは孤独に惹かれているように思う。まことにコンパスで腕を刺されても、ホームレスのおじさんの死体を発見しても面倒になるから誰にも言わずに自分だけで処理してしまうし、実の母親の葬式にも出ないというのだから徹底している。
だからやがてちひろが街を去って行くのは自然な流れであって、酪農場で働くちひろに対して同僚が前職を訊いて「ただの弁当屋です」と言えるのは、余計な憶測を抱かれることがないからちひろにとっては最高ではないだろうか。
ところでエンドロール後のシーンは店員に因縁をつけていた客と谷口が口論していたラーメン屋に偶然ちひろが入ってきた場面なのだが、餃子の大きさも正確に客に伝えられない店員だったから、果たして本当に客が因縁をつけていたかどうかは微妙なのである。
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