ある学者が「養殖ガキを12月頃に買うのはアホウですな。3月になっていっぱい食べればいいんですよ。最も安く、しかも味が非常にすばらしい時期なんですから」と自慢げに語っていたのを思い出した。
あれから20年近くになるが、彼の発言は正しかったと今でも思っている。はしりの時期に形振りかまわず飛びつく、お目出度き者への戒めの言葉でもあったと考えられる。
3月のカキはとても安い。酢の物、フライ、焼き物、土手鍋、雑炊と料理はいくらでもあるが、どれも陳腐で嫌だという人はカキ茶漬けを作ってみてはどうだろうか。
湯霜にしたカキを熱々のご飯にのせて、上からだし汁を回しかける。半生のカキにジワジワと熱が伝わり、食べる頃には生臭みが消えている。亜鉛とタウリン補給は男には重要だ(笑)