九州鉄道記念館は門司港駅のすぐ近くにある。黒い蒸気機関車が私達を迎えてくれた。実物の車両を間近に見られるのが非常に嬉しい。特急や寝台などは中に入って座ることもできる。鉄道好きの子どもは大喜びしている。
世界初の電車形の寝台特急(月光)は陳腐な座席である。寝室の造りを見て時代を感じずにはいられなかった。ひどく狭くてとても安眠などできるものではない。ウトウトしながらゴトゴト揺られて昔のサラリーマンは出張していたのである。
本館のマニアックな展示を見て土産を買ってレジに行くと雨音が聞こえてきた。とうとう本降りになったのである。子どもを乗せて走っていたミニチュア車両が収納庫に入って行った。
三宜楼(かつての料亭)のある辺りをぶらつく予定を取り止めざるを得なかった。私達は足早で駅に戻り、発車寸前の赤い電車に飛び乗ったのである。