Hさんと会うのはおよそ1年ぶりである。時の挨拶を済ませて飲みに出かけることになった。
「今日がビアガーデン最終日なんだが、どうする?屋上で一杯やるか」
問われた私は「ビールが飲みたいですよ。喉がカラカラですわ」と即答した。
「ほな、この近くのビルの屋上で飲もう」
若いお姉ちゃんの案内で奥の方に陣取ったのだが、私達以外に客はいなかった。殺風景だった駅東口に新たなホテルがオープンするなど開発が着々と進んでいた。残暑が厳しいと言っても夕方に吹く風は涼しい。既に秋を迎えたと判断すべきだろう。
喉を勢いよく通過する生ビールは格別の味だった。私は目を細めてジョッキを空けたのである。