多くの国民が電力を浪費し、世界が二酸化炭素排出量削減に取り組む中、原子力発電所の果たす役割は少なくないと思う。しかし、私自身は原発について深く考えたことはなかった。原発とは都会から遠く離れた所に建設されるということを漠然と認識しているだけだ。
20代の時、私は関東で暮らしており、新鮮な魚を求めて常陸那珂湊へ定期的に買い出しに行った。その際には必ず東海村の前を通らなければならなかった。正直、気分は良くなかった。放射能漏れ事故がたまに発生していたからである。あの辺りで獲れるヒラメやツブ貝が馬鹿でかいのを見て私達は「ここまで大きくなるのは放射能の影響だろうか」などと下らない冗談を飛ばして恐怖感を打ち消していた。
NHK(ふるさと発)制作の上関原発絡みの番組を見ながら、昔の記憶の糸を辿って苦笑したのだ。番組は反対派と推進派の双方を取材していた。豊かな漁場が損なわれることを心配する祝島の漁師、原発誘致によって国と電力会社からもたらされる財源で町おこしをするべきと考える人、どちらの言い分も正当性がある。上関町民は2つに分かれて27年間も争ってきた。「町の皆が幸せになることを忘れてはならない」という推進派の言葉が頭からしばらく離れなかった。
というのは、交付金で温浴施設やふるさと市場を建設して果たして人口増加(町の活性化)につながるのだろうかと疑問が生じたからである。
20代の時、私は関東で暮らしており、新鮮な魚を求めて常陸那珂湊へ定期的に買い出しに行った。その際には必ず東海村の前を通らなければならなかった。正直、気分は良くなかった。放射能漏れ事故がたまに発生していたからである。あの辺りで獲れるヒラメやツブ貝が馬鹿でかいのを見て私達は「ここまで大きくなるのは放射能の影響だろうか」などと下らない冗談を飛ばして恐怖感を打ち消していた。
NHK(ふるさと発)制作の上関原発絡みの番組を見ながら、昔の記憶の糸を辿って苦笑したのだ。番組は反対派と推進派の双方を取材していた。豊かな漁場が損なわれることを心配する祝島の漁師、原発誘致によって国と電力会社からもたらされる財源で町おこしをするべきと考える人、どちらの言い分も正当性がある。上関町民は2つに分かれて27年間も争ってきた。「町の皆が幸せになることを忘れてはならない」という推進派の言葉が頭からしばらく離れなかった。
というのは、交付金で温浴施設やふるさと市場を建設して果たして人口増加(町の活性化)につながるのだろうかと疑問が生じたからである。