緑のカーテンに覆われた木造家屋の斜向かいが河野診療所(音戸町鰯浜2丁目-31)。ユニークな造りの白い建物から少し進むとプロパンガスボンベがたくさん置いてある店がある。
住所表示を見て昭和11年(1936)創業の橋本商店(看板は出ていない)だと悟った。倉橋島在住で音戸てんぷら製造元を知らぬ者は多分いないだろう。地元の新鮮な魚を原料に使用したてんぷら(魚肉練り製品の揚げ物)は週に3日のみの製造である。
幻の音戸てんぷらをつまみ至福の表情で缶ビールを飲んでいる自分を一瞬想像せずにはいられなかった。私は畳屋の前を通過し隠れた名所の一つに近づいていた。