漱石の「草枕」を読んだ。
町内会役員を務めて1年になる。ひとこと、人付き合いの苦手な自分としての1年の活動の感想は、”とかく人の世は住みにくい”である。
夏祭りには、まさに”智に働けば角が立つ”に似たいやな体験をしたからかもしれない。
そんなきっかけもあってか、「草枕」の書き出しが頭に浮かび書棚から取り出した。
『山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。』
その後は、『住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。』
詩や画はできないが、庭に出て思いめぐらし、さらには里山を巡っている自分を思った。
少し読み進めてみると、いつか若い時に読んだとは違うふしぎな世界が広がった。たまに古典を読むのもいいだろう。
冬の間の一つの心の逃避に加えてみたいと思った。ゆっくり読むことにしよう。