**********************************
「星野富弘さんの手記を孫に」
何気なく、本棚の「かぎりなくやさしい花々」を手に取った。
20年も前に富弘美術館で求めた星野富弘さんの子ども向けの感動の手記だ。
ページをめくるたびに、込み上げるなみだで字がかすみ、何度も目を閉じた。
そして、不慮の事故で手足の自由を失った彼が口の筆で描いた花の詩画集を鑑賞し、その作品一つ一つに添えられた美しい心にも涙が止
まらなかった。
ふと、9年間も入院した彼を看病し支えたお母さんや周囲の人々の思いが、自分自身の長かった闘病の日々と重なった。
何度も繰り返した入院の切ない日々や、妻の優しさや母や子どもたちの心配、お世話になった医師や看護士さんが次々に浮かび、感謝の
念が湧いてきた。
周囲に生かされ救われたいま、富弘さんの生きる思いを小学生の孫に読ませたいと思っている。
*********************************** (2020.9.12 新聞掲載)