アイの咲くこの時期、いつも特別の感懐が浮かぶ。
また新聞の読者欄へ投稿したが、今朝掲載になった。
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「可憐なアイ 遙かな日々浮かぶ」
今年も庭にアイが咲き始めた。
半世紀も前、草木染めの研修の折りに川俣の染織家山根正平さんから種をいただき、以来ずっと咲き続けている。
春、こぼれた種から芽吹いたアイは、爽やかな秋を迎えピンク小さな花穂が風に揺れている。
手折って挿した一輪、この清楚な葉や花を見つめていると、アイにまつわる遙かな日々が浮かんできた。
教職にあり、伝統工芸としての藍染めを教材化し生徒と挑戦した思い出、その時のろうけつ藍染めのハンカチを今も大事に使っている。
いつかは、唐桑半島に日本最古の正藍染を見学したこともあった。
そして、趣味のスケッチは、藍一色の布絵の磐梯を描き、達治の詩を添えた。
”かへる日もなきいにしへを こはつゆ艸の花のいろ はるかなるものみな青し 海の青はた空の青” と。
そう、最近子どもたちとアイの葉の叩き染めをして楽しんだが、水洗いすると藍色の葉っぱが爽やかに浮かんだ。
好きな色はと聞かれると、藍や青と答えている。
****************************** (2020.9.23 新聞掲載)
同じ感懐を書いた以前の拙ブログ。
○ 「 アイの秘めた青色 遙かなるもの思う 」 2017-09-22 | 日々の生活
https://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/e/17077154882f3c7e17547dcd3caf5a23
○「 咲きはじめた はるかなる藍 」2006-09-09
https://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/e/eb11805169a213f47f8894fa9ce8a028