都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
今日は昨日の「アトラス(Atlas)」の弟、「プロメテウス(Prometheus)」の話です。
「アトラス(Atlas)」の弟、「プロメテウス(Prometheus)」が人間に「火」を与えました。その結果、ゼウスの怒りをかい、コーカサスの山の岩に鎖でつながれ、永遠に、はげ鷹に腹を引き裂かれ、肝臓をついばまれ続ける、という刑に処されました。
プロメテウスは不死の身であったので、一度腹を裂かれても、すぐにもとに戻ります。このため、刑は永遠に続きます。傷が治ったとたんに、再び、腹を裂かれるのです。これほどにまで残酷な刑はあるでしょうか。不死身ゆえに、死ぬこともできず、毎日、永遠に、苦しみ続けるのです。人間に「火」を与えたことは、そんなに苦しむべき罪なのでしょうか。
人間に「火」を与えた「プロメテウス」の話はこのようなものです。
ある日「プロメテウス」が人間界を見下ろしたところ、人間は無知と暗闇の中にいました。そこで、全能の神「ゼウス(Zeus)」の所へ行き、人間に「火」を与えたいと掛け合いました。しかし、ゼウスは「無知というのは罪を知らないということだ。人間は、誰かが不幸だと思わせない限り、ずっと幸福なのだ。」と言って、取り合ってもらえません。
「プロメテウス」はそれでも、どうして人間に「火」の贈り物をしたらいけないのか、教えてほしかったのです。
「ゼウス」は「もし人間に火を持たせたら、人間は神同様、強力な存在となろうとし、オリンポスを荒らしにやってくるだろう」と答えました。しかし、「プロメテウス」は、この回答に満足せず、翌朝、日の出の「火」を少し盗んで人間に渡したのです。
「火」のおかげで、闇と寒さを人間は恐れなくなりました。人間は洞窟から外に出ました。暖かい火を囲んで、小屋を建てることも覚えました。「火」からあらゆる技術が生まれました。土器をつくり、煮、炊き、焼く料理を始めました。そして金や銀など鉱石を溶かす術を身につけ、そこから生活の道具や装身具が生まれ、武器や貨幣が生まれたのです。人間は剣を作り、槍を作り、兜をかぶり、戦争に出かけました。
火を与えられて、人間は幸福になったのでしょうか。
更に彼は人類に「言葉」を与えました。そこから「思想」と「学問」が生まれました。また「音楽」を与え、人々の心を高めました。「医術」や、「建築」「天文」「数学」「牧畜」「航海」を教えました。やがて「都市(ポリス)」も出来ました。彼はまさに「文化の父」でありました。
プロメテウスは、人間に「火」を与えたことで、三万年(三千年とも)もの間、こうした残酷な刑罰を受け続けていたのです。
あるとき、勇敢な英雄「ヘラクレス(Heracules)」が彼の前にあらわれ、はげ鷹を殺し、プロメテウスは苦痛から解き放たれました。
「プロメテウス」は人間に文明と技術をもたらしました。
今、私たちは機械のみならず、技術や情報という名の鎖につながれています。人間を、この鎖から解き放ってくれるヘラクレスは、いつ現れるのでしょうか・・・。
したっけ。