年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

昭和2年10月15日読売新聞

2007年08月26日 | べったら市
昭和2年10月15日読売新聞
家庭経済 けふの知識
家庭でおいしい浅漬の漬方
大根の選び方と奥様への御注意
もうべったら市の季節でこの19日に日本橋大伝馬町で先ず開かれます。この市で今年の大根相場が決まるわけです。昔は一般の人もべったら市で大根を買い込み漬物に仕込んだものですが、今はもうそんな時勢でなくべったら市前に既に浅漬大根も出てきます。
 浅漬によい大根
 今八百屋の店先に並んでいる大根は頭が太くて尻が細長い、こんな大根は浅漬には向きません。漬けておいしいのはもうしばらくして出る大根です。つまりその頃になると大根の形が変って頭も尻も、ほぼ同じ大きさになるのです。大根の質がいくら良くても漬け方を知らぬとおいしくならない。次に専門家の方法を書きましょう。
浅漬の漬け方
大根百本漬けるとして先ず大きな桶を用意します。先ず桶の底へ水を少しいれそこへ大根を並べ塩を振りまいて次第に高く積み上げいっぱいになったらふたをして出来るだけ重いオモシをします。こうして三日間も置くと塩のため大根がグニャグニャになります。そうしたら中の水をすっかり流し出し、麹15枚に塩を一升乃至一升五合を混ぜてよく煉る。その中へ大根を漬けるのです。それで重いオモシをしてやはり三日間置くとまた水が溜まります。水は捨ててよいが今度はそこへ白砂糖二貫目も放り込みそのまま軽いオモシをして一日置くと翌日はもう取り出して食べられます。
甘い辛いの漬け方
注意すべきは塩辛い漬け方浅漬の好きな方は麹15枚のなかに二升ないし二升五合も加えるがよく、甘いのを好む方は、塩の分量を少なくすることです。白砂糖は近頃になって用いるようになったもので砂糖を入れると素敵に良くなるがそのまま十日も二十日も置くと大根が砂糖のために酸化作用を起こしフヤケてしまいます。だからなるべく早く食べてしまうとです。なお漬物はなるべく白く仕上げるのが上手なのです。

昭和2年の段階で浅漬に砂糖を家庭の漬け方で漬けるというのは無かったらしい。従ってベッタラ市で『甘い浅漬』を買うのは年の市の今風に言うと(スイーッ)だったのでしょうか。
コメント
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