今日は悩ましいロウニンアジは標本用に確保出来なかったが、もう1種気になる魚が揚がっている。マルコバンである。こちらはサイズが小さいうえ、人気のない魚なので仲買人も気にかけていないみたいである。普通のマルコバンだと思うのだが、背鰭軟条部が黄色いのでひょっとしてヨコヅナマルコバンの可能性もあるのかなと思い一応魚ボラの標本用に確保する。以前に確保したヨコヅナマルコバン(ブログ2019 7.9)は当初コガネマルコバンと同定されたが、頭部を解剖し骨の形状でヨコヅナマルコバンと判明した次第である。この個体も外見だけでは同定出来ないと思うので確保したのだが、今後マルコバンを見つけたらヨコヅナマルコバンも疑わなければならなくなり、全て確保しないといけなくなるのだろうか。更に魚ボラで同定する時も頭部の骨を調べないといけなくなるのだろうか。DNA解析という手もあるのだが、標本を確保する側としてはどこかで見分けられなければ全てとなってしまう。だが、細かい違いを探すにもそれだけの個体を見る必要があるので、ヨコヅナマルコバンの標本がある程度集まるまでは全て確保しないといけないのだろうな。
昨日の日曜日は寒気が入り久し振りの大時化となる。時化明けと言う事で今日は期待して定置網漁に挑む。だが、漁模様はアカシュモクザメばかりで他の魚は少なく不漁に終わる。帰港すると市場内も魚があまり揚がっておらず、どこも不漁だった模様。そのような状況の中、4年前に見た悩ましいオニヒラアジ(ブログ2017 10.31)が水揚げされている。当時は沢山揚がっていたのだが、サイズが大きく高値なので確保する事が出来なかった。だが、今回は4年前の個体よりもサイズが小さく確保するチャンスである。だが、今日は水揚げ量が全体的に少なく、仲買人達にしてみればこの魚が目玉となり、みんなが目を付けている感じである。そのような状況では先取りして標本用に確保するのは難しい。4年前も台風明けに揚がっているので大時化明けに定置網に入網している。これからは時化の日が増えて来るので次回に期待し今回は諦める。今回は丁度1個体だけ普通のロウニンアジも揚がっており、並べてみると顔つきが違い全く別種のように見える。ロウニンアジではないとなるとイトウオニヒラアジかオニヒラアジとなるのだが、口が大きく主上顎骨が瞳孔の中央に達しているのでオニヒラアジではない。また、イトウオニヒラアジは成長した個体を見た事がないが、ネット上で海外産の成魚の画像を見ると尾鰭の上葉先端のみがクッキリと黒くなり下葉は鮮やかな黄色であるので違う感じである。となると日本未記録種も疑うが、黒潮に乗って流れて来そうな種が1種いてチェックしているのだが、それも違う感じである。一番可能性があるのがイトウオニヒラアジである。イトウオニヒラアジの海外産の個体は幼魚でも成魚の特徴がハッキリと現れている画像もネット上に載っている。こちらで確認している幼魚とは違うので、まだ見ぬ台湾以南に生息するイトウオニヒラアジの成魚はこのような色彩なのかもしれない。今はDNAで種が判明するので、この個体も確保してDNA解析により種を突き止めたい。でも、今度出会う時はまた更に成長して値段も高くなってしまうのだろうな。
デッキ上はアカシュモクザメだらけ
悩ましいロウニンアジを発見
上がロウニンアジ、下が悩ましいロウニンアジ
上がロウニンアジ、下が悩ましいロウニンアジ
悩ましいロウニンアジ