月が変わって師走に入るが、異例の温かさが続いてスケッチ日和となり、この日も赤坂界隈を描きに出かけてきました。
赤坂には縁があり、これまでも氷川神社や紀尾井ホールなどに、初詣やコンサートなどで度々訪れてはいたが、久しぶりの訪問である。
今回は、あの赤坂の象徴的な存在である「グランドプリンスホテル赤坂(赤プリ)」が、来年3月にて閉業するというニュースが話題になっていたが、とりわけ「旧館(旧李王家邸)」は、クラシカルな建物で是非ともキャンパスに描きのこしておきたいと、チャンスを待っていた。
赤坂見附から弁慶橋へと向かい青山通りや紀伊国坂を仰ぐと、超近代的なメタリック調のビルが青い空に向けて林立しており、その景観もすっかり変わっていた。
紀伊国坂には、日章旗とともに緑地に赤く・・の旗がひるがえっており、ひときわ目立って眼に飛び込んできた。あとで聞き調べてみるとバングラデイッシュの国旗だそうで、バングラデイッシュのシェイク・ハシナ首相が国賓として来日されており、歓迎の掲揚でした。知らなかった~・・・・
弁慶橋を渡り弁慶濠を眺めると、堀端はすっかり秋の化粧と化してバックのホテルと調和して実に美しい・・・また、なぜ弁慶橋と名付けられたは不明ですが、江戸城の外堀を渡して懸けられたようで、東京の数ある橋の中でも有名な橋であろう。
弁慶橋を渡り赤プリの入口には、元徳川家の屋敷跡であると記した石標が建てられており、江戸風情の名残が残っていた。
裏側のプリンス通りにまわると、新館とは対照的な旧館の白壁と濃褐色との対比が落ち着いた雰囲気を醸し出しており、その歴史の重さを滲みだしていた。
微妙に移り変わる陽の影とともに、重厚な建物の雰囲気をキャンパスに描くのは、今日も難業であったが、陽気も味方してくれて楽しく筆を走らせた。途中、中国人だろうか3人のホテル客が覗きこんできて、しばし判らぬ会話が弾んだが、デッサンを見せると上手いと褒めてくれていたようだ。
筆を走らせていると、お昼前ごろに多くの高級車が相次いで、玄関に横付けされてゲストが入っていったが、描き終わるころには、ゲストさんが次々とレストラン「トリアノン」から出てきたが、「○○先生のお車は、玄関口へ・・・」と呼び出しが相次ぎ、どうも聞きなれた名前だなあと思えば、自民党の何派?かの食事勉強会?だったようでした。
そう言えば、赤プリは、伝統的に政治の裏舞台だったようで、元首相などの事務所や定宿だったことは、知る人ぞ知る常識であり、政治の変革も赤プリの閉館に、何らかの影響があったのだろうかと?要らぬ勘ぐりをしていた。
描き終わってみると周辺には、異常に大きな松ぼっくりが沢山落ちており、これは珍しいと赤プリの記念品として、持ち帰ってきた。
午後は、弁慶橋際へ移動して弁慶濠のボート乗り場や魚釣場の映り込みが、題材として面白く早描きに挑戦して、赤坂の秋の風景スケッチを楽しんだ。
折角の赤坂界隈を楽しむべく、この日は早々にスケッチブックをたたんで、神宮外苑にまわりイチョウ並木を鑑賞したが、生憎盛りは過ぎていたようで、西側の遊歩道は落葉が進んでおり、黄金色の絨毯になっていた。
絵画館までの並木を散策して、噴水池周辺の「いちょう祭り」の会場で一休みして、去りゆく秋の風情を感じていた。