去年の暮れに緊急入院し年明けに状態が悪くなってしまった父。
病床でも言いたいことがたくさんあるようで何かを懸命に話そうとしていました。でも何を言っているか聞き取れず、指で何度も空中に字を書いていました。何が言いたかったのかと思ったらなんと、「庭の蝋梅は咲いたか?」ということでした。びっくり!!
次の日お見舞いに蝋梅の枝を少し持って行きました。香りのいい蝋梅。蝋細工のようで亡き母が好きな早春の花でした。ベッドサイドの紙コップに活けてあげました。そんな経緯から出来た句です。
容子さん:「指」が効いています。
晴代さん:お父様は臥せっていられるのでしょうか 「指」がとてもいいですね。
郁子さん:気持ちの通い合った父娘なら指を動かすだけで会話ができるのでしょう。春を待つふたりの気持ちがしみじみと伝わります。
能登さん:父の指は庭の蝋梅のあたりを指していたのでしょうか。余韻の残る句です。
須美さん: 声が出ないのでしょうか。聞く父の指にキュンとした。
亜子さん:蝋梅は咲いたか」と尋ねるということは病床にあるのか、外に出られない。「指で聞く」というのは木を指さしたのか、あるいは文字盤を作ったのか。指を詠んだところに父親の動作をしっかりと見てその意味を汲み取ろうとした作者との関係性が伺える。
★★★
ありがとうございました。手書きの仮名の文字盤も作りました。最後に父が示してくれたのはなんと「か・す・か・い」でした。ここで、なぜかピンと来た私。「お父さん、春日井製菓の飴食べたいの?」大きくうなづく父。食後にいつも食べていた大好きな春日井製菓の黒飴。食べさせてあげられたことが救いになっています。
早春の空に残れる一葉かな 遅足
明るさが増して来た早春の青い空。そこに冬を乗り切った最後の一葉に生命力というか力強さを感じました。作者の遅足さんももこのような心境でしょうか?
須美さん:春まで枝に残った一葉を空に残れると言うところがとても好き。
泉さん:温暖化になり落葉樹なのに葉が落ちない木が多くなってきた。
亜子さん:春めいて空を見上げると梢に残る一葉。落ち葉にならずしがみついているように見える葉がいとおしい。見落としてしまうことを拾い上げて詠むのが俳句ならではの醍醐味。
★★★
今日は美しい青空。季節はめぐり春が近づいています。麗子