パリ五輪が始まったが、今日うれしかったことは、そちらのことではない。
インドの首都ニューデリーでのことだ。
「佐渡島の金山」が世界文化遺産として登録されることが、そこで開かれているユネスコの世界遺産委員会で決まったのだ。
新潟県に住む者として、非常にうれしい。
審議の結果、全会一致で世界文化遺産として登録することが決まったことがよかった。
佐渡の金山をめぐっては韓国政府が、「朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だ」として反発していたことがあったからだ。
今回の審議では、韓国も委員国の一つとして登録に同意したとのこと。
ここに至るまでは、本当に長かった。
「佐渡の金山」については、新潟県と地元佐渡市が世界文化遺産への登録を目指し、ユネスコに推薦するよう、ずっと前から政府に働きかけていた。
ところが、なかなか推薦してもらえず、国内の他の場所ばかりが次々と世界遺産になっていった。
ようやく進んだのは、3年前の2021年12月。
文化庁の審議会が、推薦候補に「佐渡島の金山」を選定すると答申した。
だが、選定は推薦の決定の意味ではなく、政府内で総合的に検討するとなどという、異例の注釈付きだった。
韓国の反発が、政府自民党を弱気にさせていた。
ただ、自民党内には、韓国の主張は不当だとして推薦すべきだとの意見もあった。
翌年1月、岸田首相が、ユネスコに推薦することを決め、動き出したように思えた。
ところが、こともあろうに、ユネスコから諮問機関のイコモスに推薦書が送られてなく、審査の手続きが進んでいないことが明らかになった。が原因でした。
書類の不備が原因だったというから、何やってんだか…。
その後、政府は、不備を指摘された部分を修正して、ようやく去年1月に推薦書を再提出。
去年8月にイコモスの調査員が現地を訪れ、調査が続けられた結果、今年の6月にユネスイコモスの評価は、上から2番目の「情報照会」にとどまった。
その勧告では、世界遺産への登録を考慮するに値するとしつつも、いくつかの修正が求められた。
その修正をへて、ようやく、今日の登録決定となった。
関係者は、本当によくがんばってここまでこぎつけたなあと思う。
佐渡は、小学校高学年の修学旅行や体験教室の引率で何度も行った。
子どもたちに最も人気があったのは、西三川の砂金取り体験だった。
そのような体験から、興味を高めるのは、子どもたちには適したものだと思った。
そして、相川の金山では、「道遊の割戸」の山が2つに割れている姿に、金を掘ったすさまじさが感じられる。
また、坑道の中に入ると、金を手で掘る様子が、人形らによってわかりやすくなっていた。
そんな様子は、世界的な文化遺産にふさわしいと思っていた。
佐渡には、ニッポニア・ニッポンの朱鷺も魅力があるし、自然に関しても、曲がりくねった天然杉や美しいトビシマカンゾウの花なども、すばらしいと思える。
ほかにも、独自の文化が残っていて、見どころが多い。
金山の世界遺産登録決定によって、佐渡の新たな魅力に気づいてもらえたらいいなあと思う。
ともかく、まずは世界遺産の登録決定を、新潟県人の一人として、素直に喜びたいと思う。
関係者の皆さん、本当におめでとうございます。
そして、ご尽力ありがとうございました。
お疲れさまでした。