著者と語る『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』矢部宏治・ノンフィクション作家 2018.12.19
本の内容
第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていたドイツやイタリア、台湾、フィリピン、タイ、パキスタン、多くの中南米諸国、
そしていま、ついに韓国までもがそのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めているにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは?
10万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む!
かつて占領下で結ばれた、きわめて不平等な旧安保条約。
それを対等な関係に変えたはずの「安保改定」(1960年)が、
なぜ日本の主権をさらに奪いとっていくことになったのか?
「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?
原因は、岸首相がアメリカと結んだ3つの密約にあった!
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PART1『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』では、
戦後日本における、アメリカへの異様なまでの従属体制が「なぜ生まれたのか」という謎については、
ひとまず解明と説明が終わったと考えています。
そこで最新作『知ってはいけない2――日本の主権はこうして失われた』では、その異様な体制が70年たったいまも、
「なぜつづいているのか」という、戦後日本の“最後の謎”を解き明かします。
第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで
主権を失っていたドイツやイタリア、台湾、フィリピン、タイ、パキスタン、
多くの中南米諸国、そしていま、ついに韓国までもがそのくびきから脱し、
正常な主権国家への道を歩み始めているにもかかわらず、なぜ日本にだけはそれができないのか。
今後どうすれば私たちは、「自らが主権を持ち、憲法によって国民の人権が守られる、本当の意味での平和国家」
として再生していくことができるのか。
10万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、
「戦後日本の“最後の謎”」に挑む!
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【目次】
第1章 日本は「記憶をなくした国」である
――外務省・最重要文書は、改ざんされていた
第2章 外務省のトップは、何もわかっていない
――三つの密約とその「美しき構造」について
第3章 CIAの金は、ロッキード社が配る
――「自民党」という密約がある
第4章 辺野古ができても、普天間は返ってこない
――軍事主権の喪失と「帝国の方程式」
第5章 米軍は、どんな取り決めも守らない
――国連憲章に隠された「ウラの条項」とは?
終章 外務省・最重要文書は、なぜ改ざんされたのか
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会見リポート
「日米関係の闇、乗り越えられる」
五味 洋治 (東京新聞論説委員)
日米間の密約については、民主党政権下の2010年に外務省と、外部の有識者委員会の検証が行われ、核の持ち込みなどについて密約があったことが確認されている。
問題は、この調査で終わったわけではない。日本が主権を失い、米国に従属しなければならないという「おかしな関係が続いている」(矢部さん)のは、日米安保条約や、
日本における米軍基地や軍人の地位を定めた「日米地位協定」の成り立ちや、構造にある。
矢部さんの問題意識はここから出発している。
そして分かりにくい日米関係の資料を改めて読み込み、そのからくりを丁寧に説き明かしてきた。
近著の『知ってはいけない』(講談社現代新書)の1、2はいずれもベストセラーとなっているが、日米関係が引きずってきた「闇」の部分を知りたいという人が多い証拠だろう。
矢部さんの話の中で、最も印象に残ったのは、日米安保条約が1960年に新安保条約に改定された時のことだ。同時に「日米行政協定」も「日米地位協定」に変えられ、
不平等は解消されたとされてきた。
しかし実は、米国側は「協定の見かけを変えるだけであり、実質的な変更は行わない」ことを絶対条件として日本側に提示していた。
これは公開された米国の外交文書にもはっきり書かれているという。
そして、この条件下で進められた安保条約の改定交渉過程において、日米間で「討議の記録」というものが交わされる。
これこそ「密約中の密約」(矢部さん)であり、核の日本への持ち込み、米軍の他国攻撃密約につながり、
これらの問題は、非公開で行われる日米間の協議に委ねられ、表から見えなくなってしまう。
「これこそ、米軍に異常な特権をもたらす日米安保の法的構造だ」と矢部さんは、独自に作成したチャート図を示しながら説明した。
ただ、「日米間の闇はそう深いわけではなく、絶対に変えられない壁ではない。それなりの政治家が出てくれば十分変えられる」とも、矢部さんは強調した。
ちょうど、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事に関連し、埋め立て用土砂の、海への投入が開始された。賛否の論議が高まっている。
日米関係について、根本から考え直す時期に来ていることを実感させる会見だった。
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