いつものように何の予備知識も事前下調べもなく「ローマに消えた男」を観ました。観た後、この映画を紹介してくれた東京のMさんにメールしました。
⇒「昨日ローマに消えた男を見ました。始まって10分?くらいしてこれは久しぶりにとてつもないコメディかもと身構えました。
それにしても、野党の政治家と言うかイタリアの政治家が身に着けている教養?文化の厚みに驚嘆。まさか政治家を演じる俳優の口から、これは[俳句]というポエットだよと
日本語がでて来るとは。
ポピユリズムに熱狂する幅広い党員群集!カタストロフイはイタリア語でもカタストロフイなんだと思いつつ久し振りに上質のコメディを時に声がでる笑い付で楽しみました。
観ているうちに日本の政治家の人間の薄っぺらさも頭に浮かんで、この70年の占領政策の完璧さに脱帽しました。今回もまたしっかり元が取れた映画でした。
今日ご紹介頂いた映画「黄金のアデーレ」も上映館調べます」。イタリア映画は人間ドラマの描き方にどこか深みがあって面白いが、この映画も国の違いを越えた「人間社会の今」を描き、
政治家を風刺し、そして我々「くにたみ」という扇動にのりやすい群衆を皮肉る素敵に楽しい映画でした。イタリア映画やはり侮れず!!
映画・COMから引用。
奇想天外なプロットを成立させるのは、じわじわと光る脇の実力者の名演技
選挙を目前に控えたある日、政権交代をめざすイタリア最大の野党を率いるエンリコが突如、ローマから姿を消す。参謀アンドレアはエンリコに双子の兄弟ジョヴァンニがいることをつきとめ彼を代役に立てる。心を病み収容されていた施設を出たばかりのジョヴァンニは、狂気と正気のあわいで歯に衣着せぬ熱弁をふるい、カリスマ的な人気を獲得、低迷していた党の支持率もめきめき上昇してしまう――。
軽やかに笑いをまぶしつつ真に志ある指導者不在の今を突く映画は、日本の、世界の現実をも痛烈に思わせる。チャップリンの「独裁者」も視界に入れたこの風刺コメディの駆動力となっているのが「イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男」「ゴモラ」「眠れる美女」そして「グレート・ビューティー 追憶のローマ」とイタリア映画をしょって立つ芸達者トニ・セルヴィッロだ。表情筋を駆使して双子の陰陽を絶妙に色づけるおかしくてやがて悲しい快演は、時にやりすぎ感が漂いもする俳優の弱点さえも味方につけて退け難い磁力を発揮する。が、セルヴィッロのこってりと濃い演技の凄みをどこまでも受けの芝居で吸収し、じわじわと光るアンドレア役ヴァレリオ・マスタンドレア(「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」)の存在も忘れるわけにはいかない。切羽詰って断行した替え玉作戦の成果についうっとりとなるさりげなくも微笑ましい一瞬。マスタンドレアの演技と見えない演技はぬかりなく観客の気持をそこで象ってしまっている。
いっきに突っ走る奇想天外なプロットを成立させているのが実はそうした衝撃吸収材的役割を確実にきめる脇の実力者。と改めて確認してみると、リーダーと同じ位に今、政治の世界が求めているのもそんな存在――などと、余計なことを口走りたくもなる。ボディブローのように効いてくる原作・脚本・監督ロベルト・アンドの風刺の牙のせいだろう。