阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
1942年生まれが江戸川区から。

新型コロナウイルスに関し情報がピンからキリまであれこれ乱れ飛ぶ   私はこれまでも信頼してきた岩田健太郎さんと上昌弘さんの発言を今後も見ていく

2020年02月18日 | SNS・既存メディアからの引用記事
岩田健太郎
2020年02月17日 06:53
結果を出すということ(COVID対策)
引用元。

昨日、風邪の人は自宅で安静に、という話をしました。その根拠も示しました。
このことは、COVIDの数を全数把握する意味はない、ということを意味しています。風邪の数を数えても得るものは小さいからです。もちろん、数の推計は技術的に可能かもしれませんし、風邪の経済的損失も無視できませんが、さしあたりその問題は相対的には大きくない。
さて、すべての感染対策は「うまくいった」「いかなかった」の基準が必要です。日本のCOVID対策は、中国以外で世界で最初に地域内クラスターを多発させ、(おそらくは)クルーズ船内での二次感染を許容しました。現段階では「当初の予定通り」とはとても言えません。本来ならば、世界各国に歩調を合わせて二次感染の発生を追跡可能な範囲に止め、クルーズ内2次感染は許容してはならなかったからです。
昨日も書きましたが、感染対策はうまくいったりいかなかったりします。100%完璧にやる、というのが無理な目標です。だから、うまくいかなかったこと「そのもの」は仕方ないのです。が、うまくいかなかったという事実から目を背けて「うまくいっている」ふりをするのは一番いけません。
中国は都市の閉鎖、病院の突貫工事での建設など世界史上でもまれな感染封じ込め対策をしました。そのために巨大な経済損失もあったでしょう。しかし、中国という振興巨大国が世界の信用をキープするためには短期的な痛みは許容して、より大きな長期的痛みを回避しようとしたのです。それが上手くいくかどうかは目下のところ分かりませんが、中国の意図はあきらかです。
短期的メリットより長期的なメリット。これはとても大切な考え方です。熱を我慢して診療すれば短期的には医療のメリットですが、その結果院内感染が蔓延して病院機能が大きく損なわれれば、長期的にはむしろ大損なのです。これは絶対回避すべき失敗ですが、インフルエンザをがまんして仕事を続ける、というのは医療現場でもそうでないところでも、日本ではあちこちに見られてきました。長期戦略を欠くのが日本のありがちな失敗のパタンなのです。
というわけで、中国の意図は明らかですが、日本の意図はもうひとつ明白ではありません。いや、そもそも意図などないのかもしれません。現在、散発的に起きているクラスターを抑え込むことは大事なのですが、それが抑え込めなくなったときに中国レベルの果断に出るのか。それともなんとなく都市機能を維持し、なんとなくマラソン大会も続け、会議も続け(専門家会議もスカイプにしなかったし)、そうやって「なあなあで」やり過ごそうとしているのかもしれません。そして、世界中にCOVIDが蔓延したときは、そもそも問題が大きすぎてすべてが無化されるからです。大きすぎる問題は誰も相手にしないのです。
政治的には正しいかもしれないこの判断は、感染症対策的には絶対に間違っています。
では、日本は何を目指すべきか。「何をやるか」よりも「何を目指すか」。ミッション、ビジョンを持つことが大事です。そしてそれが手段を誘導するのです。逆ではありません。
日本が目指すべきは、中国やその他の国よりもCOVIDの死亡率(CFRではなく)を減らすことです。もうCOVIDの全数把握は意味がないのですが、数千人規模で死者が出ている中国のCOVIDを、日本ではもっと死なない病気にすることです。
そのために病院機能を最大化する。これは現在日本のほとんどの専門家に共有できているビジョンです。そこはいい。
では、どこが問題か。懸念事項が一つ。それは、「ちゃんと数えているか」です。すでにクルーズ船問題で日本のデータマネジメントはグダグダだと諸外国に判断されています。もうひとつは和歌山で、ここのデータマネジメントと情報公開がきちんとされるかは今とても注目、懸念しています。なぜなら、現段階での和歌山の情報が殆ど入ってこないからです。本来ならば大臣や知事が記者会見をするのではなく、FETP自身が自分たちがやったこと、見つけたこと、これから見つけようとしていることを情報公開すべきなのですが、彼らの存在そのものが見えません。これでは適切なリスクコミュニケーションとはいえません。
無症状の者を検査する意味はまったくない。このことは繰り返し申し上げています。一方、「日本で肺炎で死亡した方」の場合は、他の原因が明らかな場合は除き、必ずnCoVを検査して調べるべきです。これがちゃんとできるかどうかが、日本の将来を決めます。これが「謎の肺炎」「謎の急変」として片付けられると、上記のアウトカムは不明確なままになります。
検査を曖昧にして、なあなあにして、なんとなく被害を小さく見せようとする。それは短期的には「日本は上手くいっている」という印象を与えてよいのかもしれません。オリンピックだって無事開催できるかもしれません。しかし、長期的には「日本の発表、データは当てにならん」という形で大打撃です。失った信用を取り戻すのはとても時間がかかるからです。中国はSARSのときにそれを思い知ったから、今必死で名誉挽回を図っているのです。
もう一度いいますが、日本のCOVID対策がうまくいくかどうかは、COVIDの死者を少なく出来たかどうかにかかっています。その前提は正しい診断です。EBMの原則を看過し、診断に無関心、無配慮であった日本の臨床医学界における大きなチャレンジです。もし仮に、、、あくまで仮の話ですが、、、、日本でもCOVIDの死亡者が何千人規模で発生したとしても、それはちゃんと把握し、公表されねばなりません。そして「対策の失敗」として認識されねばなりません。失敗を認める覚悟。その覚悟を前提として、日本の感染症対策の成功を、真の成功を目指すのです。
新興感染症のあとの日本の総括はいつもグダグダでした。ミッションがあいまいなので、総括もふわふわだったのです。現在もCDCがないのは、それでもスルーできたからです。不幸にして、いや、幸いにして、現在は世界中が日本に注目していますから、いつものグダグダやふわふわは許容されません。
とりあえずは、クルーズ船と和歌山、そして現在起きている東京のクラスターの詳細な分析と情報公開が今すぐやるべきことです。


政治経済 2020/02/09 10:00
ただ閉じ込めればいいのか。新型コロナウイルスの合理的な感染防止方法とは 上昌弘  引用元
 

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