『語り継がれた西郷どん』 発掘!維新スクラップブック (朝日新書) 新書 – 2018/2/13
一坂 太郎 (著)
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amazon 内容(「BOOK」データベースより)
東大赤門前の古書店で偶然、著者が見つけた、古びた一冊の新聞スクラップブック。そこには、生麦事件や薩英戦争を戦い抜き、西郷や大久保利通と直接話した人たちの証言が詰まっていた。同時代人が語るリアル西郷。
これは、西郷に関する新しい知識を得ようとか思って受動的な気持ちで読むのは、すこしつらい。
血縁や身近に西郷と接した同時代人が語る語り口から自ら想像し、さらなるリアル西郷にせまる過程を楽しむつもりで読んだ。
合わせて、名もない同時代の人が語る言葉の端々からも、諸説入り乱れる西郷にまつわるエピソードの真偽の判定に役立つ何かが、伝わるものだ。
著者はあまり語らないのだが・・、自ら語るよりも貴重なものを”発掘”した喜びとそれを整理した苦労も伝わってきたのであった。
ひとつだけ例をあげると。
新聞に掲載された菊次郎の談二篇
「西郷南洲邸の家庭教師」「(西郷隆盛)五十年祭と親の意志」
菊次郎 京都市長時代
記事 西郷南洲邸の家庭教師 生存せし月照と唱えられし人、南洲の代筆者
p129現に十年戦役当時の如き一家の男子ことごとく軍に加わりしも、氏は独り家に留まりて、老幼婦女を保護せり。
しかも常に多くは家に在りて外に出(いで)ず。また深く人と交わらず。
ここに於いてか、人として西郷邸における一奇(田に奇)人は即ち薩海に没して死せしと称する僧月照なりなどと云わしむるに至れりp130
鹿児島新聞 昭和2年 1927年 10/24日
ドラマ西郷どんでは先週、川口雪篷が沖永良部島から鹿児島に戻り西郷家に寄寓することになった。
島で雪篷は「革命」と書いた旗を振って西郷を見送ったのだったが
それを風呂敷にして担いで鹿児島に帰ってきていた。
雪篷=大塩平八郎説もきいたことがあるのだが、月照説もあったのだ。