wiki『晩春』(ばんしゅん)は、1949年(昭和24年)に公開された小津安二郎監督の日本映画。
1949年度の「キネマ旬報ベスト・テン」日本映画部門1位
英国映画協会(BFI)2012年版「批評家が選ぶ史上最高の映画トップ50」で15位
小津初の"娘の結婚"ドラマ(その後の小津作品のスタイルを確立)
小津、原節子の初コンビ
『麦秋』(1951年)、『東京物語』(1953年)と合わせて「紀子三部作」と呼ばれる
(原節子が演じたヒロインはすべて「紀子」)
原作は、広津和郎の小説『父と娘』
父親と娘が枕を並べて眠っている場面で床の間に置かれた壺が写り込むカット(父の寝息の音と同時に1:28分04秒頃から2度)の意味をめぐる「壺のカット論争」がある。
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『秋刀魚の味』(さんまのあじ)小津監督、主演岩下志麻1962年と似ている。
このブログ 映画『秋刀魚の味」』 監督: 小津安二郎
2011年10月26日 | 映画
今のひとには感情移入は難しいと思うが、
まだ戦後を引きずっていたであろう当時の人にとってもどうだろうか。
映画で描かれている上流階級の人であっても庶民であっても、多くの人は多分そうだっただろうとおもう。
日本国外でも非常に高い評価を得ているというから、感情移入するというよりも、つまりなにか普遍的な要素がそこに描かれているということかもしれない。
父・周吉( 笠智衆)は東大教授だが、妻に先立たれていて娘の結婚で取り残され一人暮らしになる。不器用な手つき(けっこう上手だが)でリンゴの皮をむくシーンでドラマは終わる。
監督に言われるとおりに演じてきた笠智衆ですが、このシーンで監督にリンゴをむきながらここで泣くように言われますが、笠智衆は、それは私にはできない、と初めて断ったことを後に後悔しています。九州男児(熊本育ち明治37年生まれ)で、男は泣くもんじゃない、と言われて育った笠の意見は監督に受け入れられます。
終わりを予感させる静かな音楽が流れるなか笠が椅子に座り真剣な表情でリンゴの皮むきだすと、マイクは、さくさくというその音を鋭敏に拾い、次第に皮は長く下に垂れ、ぽとりと下に落ちます。息をのむほどのタイミングです。(落ちたのは偶然でない)。周吉はそこで手を止め、皮の切れ目にじっと目を止め、うなだれ、目を閉じ、また閉じ、そして皮むきを止め、さらにうつむいたたところで画面が浜辺の波にかわり、音楽が大きくなってエンドになります。確かに泣くよりも印象的な演技です。
晩春
Late Spring
Late Spring Japanese Poster.jpg
監督 小津安二郎
脚本 野田高梧
小津安二郎
原作 広津和郎
製作 山本武
出演者 原節子
笠智衆
月丘夢路
音楽 伊藤宣二
撮影 厚田雄春
編集 浜村義康
配給 松竹
公開 1949年9月13日
上映時間 108分