『韓国ナショナリズムの起源』 (河出文庫) (日本語) 文庫 – 2020/4/4
朴裕河 (著), 安宇植 (翻訳)
5つ星のうち5.0
2個の評価
韓国の検察が 元慰安婦の支援団体の運営めぐる疑惑で、その事務所を捜索した
というニュースは5/20日のことだった。
コロナ問題もいくぶん落ち着き、今日昼のワイドショーで
「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)とその前身である「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)にたいする疑惑が韓国国内で大きな政治、社会問題になっているという話題
に時間がさかれていた。
これまでの日韓関係の冷え込みで、ワイドショーに出演する韓国出身のコメンテーター
の発言にわたしは注目していた。
逆説的に聞こえるかもしれないが
日韓両国の視聴者とそれに番組の台本にも
気を配ったバランスのよい、ユーモアを交えた発言は、
日韓の対立問題にあまり深入りしないためにも重要だと感じていたW。(参考にもなった)
以下の2冊の本も簡単に言えば韓国人による韓国批判である。
しかしワイドショーのようなユーモアも、はぐらかしもない。
本書(韓国ナショナリズムの起源)の著者は
韓国生まれで高校卒業後訪日し日本の大学で学んだ韓国・世宗大学校日本文学科教授の女性。
『帝国の慰安婦』の著者。2005年『反日ナショナリズムを超えて 韓国人の反日感情を読み解く』(2000年に上梓された韓国版タイトル『誰が日本を歪曲するのか』)を改訂増補して文庫にしたもの。
本書の文庫化は、『反日種族主義』(写真下)が日韓両国で驚異的に売れていた2019年の暮れのころに話がもちあがり、
2020年に書かれた本書の「20年後の長い序文」(P11~30)のなかに、
『反日種族主義』にたいするいくらかの賛同とともに、違和感や賛同できない理由などが述べられている。
『反日種族主義は、名瀬の書店でも先週、入口のベストセラーランキングの棚に
面陳されていた。(きょうはすでになかった)
本書(韓国ナショナリズムの起源)はあまり目立たない場所の棚の棚刺し(よく見つけたものだと思う)
本質主義を乗り越えて他者との出会い方を考え、それを妨害するものは何かを探求することが大事と強調しているように、『反日種族主義』の具体的事例の韓国批判にはかならずしも同意していない。著者は日本擁護の気持ちだけではない。「嫌韓でもなく反日でもなく一方的な親日でもない立場で冷静に論理的」に行った分析だ。
ワイドショーのコメンテーターの話術の巧みさとはいささか違う。先に逆説的といったのはそういう意味だったのだが・・。
深入りしすぎないため(なまかじりにならないためにも)どちらも有効だと感じた。
(まだ半分読了だが)『反日種族主義』のどちらかというと直接的な表現(より実証的ではある)と比較して読むと違いがよくわかる。両書のネットレビューでもそのことが微妙に反映しているのが読み取れる。おかげでたくさん読んでしまった。
コロナ後の米中対立の局面においても重要性が増すだろう日韓の問題はお昼のワイドショーでも目が離せない。