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2回生のときだった。
いつもは、遠距離通学のため授業が終わるとすぐ駅に急ぐ毎日だった。
この日は、彼に誘われて御祭を見るために帰りの汽車を2時間遅らせることにした。
華やかな行列、春日大社でのお祭の行事をゆっくり見た後、公園のベンチで、暫く語り合った。冬の日の入りは早く、空の星が綺麗だった。
オリオン星座を教えてくれたのは、彼だった。
星を見ながら、何の脈絡もなしに、
「卒業できたら、お嫁さんになってくれるかなぁ」
ぽつんと彼はいった。ドイツ語の単位がまだ取れていないので、それが取れないと卒業が半年延びると言う。
「3月に卒業できたらね」
ムードで交わしたような約束が、彼の励みとなったとか。無事単位習得。
赤い糸で結ばれていたのか、それから3年後彼の許に嫁いだ。
春日大社の御祭と、オリオン星座は、青春の思い出である。