啓翁桜
染井吉野より一足早く満開の時を迎える。春の訪れの今山の斜面を彩っている。
すでに生け花の切り花用として、枝を伐って冬の間に出荷されたあと、自然の中で再び目覚めた枝が伸び、花芽をつけて冬の寒さに耐え、本当の春の喜びを謳歌しているのが啓翁桜である。
2度目のお役目が桃源郷を創っている。
どの木も低木であるのは、花木を育てることを生業にしている、この里の人たちの作業のゆえである。最初の花芽の着いた枝の後伸びたいだけ自由に伸びている、花の鼓動が山に今溢れている。
低木であるといっても、細い枝先はこの春を喜ぶかのように、空に向かって伸びている。
桃源郷を創りだしてくれた木は、多分花が終わってしまったら、剪定をするのか、山に入ると木の枝がまとめてあちこちに置いてある。
サンシュユは、啓翁桜と同じような役目をしているのか、話を聴いていないが、多分出荷の後の再びの命の美しさを今見せてくれているのではなかろうか、今度「ここは家の山」と教えてくれた後輩のTちゃんに尋ねてみよう。
サンシュユの細い枝も、温かくなった空にしっかりと延びている。これらが遠景になると、みんな朧になって春のときめきをもたらしてくれる。
道路から対岸を見ると、啓翁桜もサンシュユもみんな低木であることが分かる。
手前の目の前の枝は染井吉野だ。まだ蕾さえ固く、町中の木よりも遅い春となることだろう。
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